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子供を無事救出する事が出来た。 甲板の上に横たわる子供は濡れていて気を失っているけれど、ちゃんと呼吸はしているし心臓も動いている。無事そのものだ。 空から降ってきて海に落ちた子供は落下時の衝撃で気を失ったらしく、幸いなことに溺れていても水は飲んでいなかった。 これだったらすぐに目を覚ますだろうと、救出に関わった一同は胸をなでおろす。 改めて見ると、本当に小さな子供だった。 浮かんでくる疑問は、なぜ空から降ってきたのか、だ。 子供はとても小さいので、風に飛ばされたのだろうか。こんな海の真ん中まで?海王類の仕業かも、と様々な憶測が飛び交う中、ぱちりと子供の目が開いた。 「う?」 「目が覚めてよかったわい。お前さん、名は?」 「だよ!」 子供は元気そうに立ち上がると、きょろきょろと周囲を見回す。 そして最初に会話をしたガープに訪ねた。 「おーしゅーのおしろどこ?」 話を聞いていた大人たちは困ったが、ガープだけは慣れた様に返事をする。 「お前さんの国は、オーシューっつうのか」 「そだよ。はやくかえんないと、またおさにおこられる」 「なら、急いで帰らんとな。どれ、ちょっと待っとれ」 ガープは伝電虫で海軍本部へ通信を入れ、の言うオーシューという島だか国だかを探してもらうよう頼んだ。 調べるのにも時間がかかるだろうし、子供受けしそうな明るい性格の海兵に子供の面倒を見るよう頼み、息をつく。 大方竜巻にでも巻き込まれて飛ばされたのだろう。 ひとまず無事で何よりだわい、と子供の頭を撫でた。 しかし、数時間後返ってきた返事は、そんな島や国はない、という悲しい結果となった。 海軍がすべての島の名前や国名を把握しているのかと問われれば、否。 小さな島や村などはまだまだ把握しきれていないのが現状だ。 子供がそんな辺境の土地からやってきたのか、それとも子供自身の思い違いか。 子供はまだどうしたって小さな子供なので、自分の島も国も理解していない可能性が高い。 国名があっているのか、それは村なのか島の名前なのか、それさえもわからなければどうしようもない。 これは困ったぞ、とガープは頭を掻いた。 「もう一度聞いてもえぇか?お前さんの故郷はどこにある?」 「いまは、おーしゅーの、あおばじょうにいるよ!は、伊達さまの忍だよ!」 ← □ → にっこりと嬉しそうに名乗るその姿に、ガープは先が長そうだと息を吐いた。 2017/09/13 |