「パパ!なんか子供がいる!!」

「エースっつーんだ、面倒見てやってくれや」

「さ、さらった?人さらい?パパでもつかまえるよ…?」

「違うっつの!お前は俺をどんな目で見とるんだ!!」


の腕の中には、おくるみに包まれた赤ん坊がいた。
父親であるガープがうっかり孕ませててもおかしくはないけれど、それでもこんな小さい子供がいるなんては聞いたことがない。
しかも、ここはフーシャ村の住人もあまり立ち入らないガープの隠し小屋だ。
頭の中であまりよろしくない考えがぐるぐると回る。


「とりあえず、訳あって育てることになった。俺だけじゃ面倒見切れんから、頼んだ」


はつい先日やっと雑用を抜け出して三等兵に昇格し、長年勤めてきたマリンフォードからイーストブルーへの転属が決まったばかりだ。
故郷と言っても過言ではないフーシャ村の近くの島で、これで気軽にマキノやダダンに会えると喜んでいたのに。
もぞもぞと動く赤ん坊をガープに向かって突き返す。


「パパ待って、まだ子供だし、新しい支部に配属されたばっかで忙しいんだけど!!」

「頑張れ、娘!」

「もうちょっと後先のこと考えて!!」


転属でイーストブルーへ行くなら、俺も用があるから一緒に行ってやる、と機嫌よくガープが付いてくるのは、まだわかる。ガープはフーシャ村が大好きだから、暇を見つけてはフーシャ村に足を運んでいる。
気付くべきだったのは、ガープの手にずっと布の塊が持たれていたことだ。
今となって思えば、あれは赤ん坊だったのだろう。
なぜ気付かなかった!とは悔やむも、気付いたところでどうしようもなかった。


「お前も女なんだし、赤ん坊くらい育てられるだろ」

「その前に!の歳考えて!!まだ14歳だし!!」

「いけるいける!」


赤ん坊を受け取ることなく笑うガープに、はどうやって育てたらいいの、と途方に暮れた。






 
こうして14歳の子育てが始まった。
2010/11/15