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「貴方達、虐めはおよしなさい。悪は見苦しいものですよ」
殿方が女性を虐げるだなんて、悪以外に何がありましょう。
如何なる理由があっても、殿方は女性に手を上げてはいけません。
あるとしたら、それは悪以外あり得ないのです。
「もしそちらの女性がなにか悪行をなしたというのならわたくしが代わりに謝りましょう。なんにせよ、大人数で制裁を加えるのはよくありません」
「はぁ?部外者が、関係ねーんだよ!」
「それよりお前、なにもんだよ!!」
「わたくし、薄野部隊第一特攻隊総隊長薄野と申します。
正義のために、貴方方を始末してもよろしいでしょうか?」
「氏神家から依頼がありました。 “うちの娘がいじめられている。いじめている諸悪を始末してくれないか” と」
「薄野は即座に調査し、結論に至りました。氏神のお嬢様は無実、虐めている輩は悪である、と」
「よってわたくし、薄野部隊第一特攻隊総隊長薄野はこの氷帝に派遣されました」
「正義のために、貴方達を始末してもよろしいでしょうか?」
わたくしは、呼び出しておいた氷帝男子テニス部の方に尋ねました。
もちろん答えは必要ありません。
罪状は明らか、余罪は多々、これまで行った悪行は数知れず。
悪を裁かず何を裁くというのでしょう。
皆様方各々の思いを叫んでらっしゃいますが、悪人に発言権はありません。
あるのは己の犯した罪、ただそれだけです。
尋常ならざる長さ、それはわたくしの身の丈よりも長い、日本刀を構えます。
それがわたくしの裁きの剣、処刑のギロチンです。
「…、人殺しっ!!」
「いいえ向日さん、これは裁きです」
「殺すお前が悪やないんか」
「いいえ忍足さん、わたくしは始末人です」
「だからって、殺されるほどのことじゃない!」
「いいえ芥川さん、悪は裁かねばならないのです」
「氏神が、そもそも悪いんだろっ!?」
「いいえ宍戸さん、氏神のお嬢様は為乃宮のお嬢様に濡れ衣を着せられていたのです」
「じゃあ、為乃宮さんが・・・」
「はい鳳さん、彼女こそが諸悪の根源です」
「ここで俺たちを殺したら、貴方こそ警察に捕まるんじゃないですか」
「いいえ日吉さん、わたくしは薄野部隊、そして今回は氏神家の力も働いております。ですのでここでわたくしが貴方達を始末しても罪には問われませんし、貴方達の死は外界に一切漏れません」
「俺たちを、許してはくれませんか」
「いいえ樺地さん、氏神家からの依頼があった時点で、これはもう決定事項なのです」
「跡部を、殺すのか」
「はい跡部さん、氏神は、四神一鏡は跡部財閥なんかとは比べ物にならないほどのものなのです」
「さて皆様。ご遺言は終わりましたでしょうか」
それでは、裁きの時を。
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