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生きた心地がしないってゆーか、生身で深海まで潜って水圧でぺっちゃんこになりそうってゆーか、ロードローラーでぶっちぎりにされたってゆーか、蛇に睨まれた蛙で蛙に睨まれた蛞蝓で蛞蝓に睨まれた蛇ってゆーか、マジなんなんですか、この状況!
ここは地獄ですか、地獄なんですね!
なんで赤き制裁が我らが氷帝学園中等部、三年C組で授業を受けていらっしゃるのでしょうか!!
しかも何故注意しない、古典の芳賀ちゃん!!
なして誰も突っ込まない、我らが盟友!!
あぁぁ、どう考えたって成人が授業受けてんだよ、おかしいだろ、常識的に!!
てゆかちちど!ちちどは気になるよね!?さっき話してたもんね!?
(ちちどー、ちちど!ち ち ど ! ! )
信じらんねー、あいつ、完全シカト決め込みやがった!!
あ、なに、これはもしかして、みんな異常を理解してるけどあえて突っ込まないというオチ?
かかわり合いになりたくないので見て見ぬふりをします、的な?
そういえば、さっきからみんなの視線ちらちら感じてるような?え、マジ?
あぁぁぁ、あたし、なんってKY!
ごめんみんな、あたし一人KYだった!!
ここはシカト決め込むべきだったんだね?あぁぁマジサーセン!!
で、時は流れて休み時間。
あたしは脱兎の如く、当然ながら、教室から脱出したわけよ。
いやー、あの教室、赤き制裁がいるだけでマジ地獄。
つーかいつ殺されるかわかったもんじゃねーし!
なんであたしってば呪い名なわけ!しかも奇野!
あぁぁ、呪い名なんかじゃなくて、せめて…えーっと、そう、四神一鏡とかの財閥が良かった!!
そしたら呪い名のくせに普通の庶民じみたしょっぱい一般家庭じゃなくて、ゴージャスでデリシャスな生活が送れたのに…。てゆーかこう、名前に負い目を感じずに生きて行けたのに!!
なに、病毒って!触りたくねーよ!てゆーか近づきたくもないね!触ってばい菌うつったらどーすんだよ!
・・・・・自分で言ってておちこんだ。
うん、病毒って、なんか触ったらうつりそうだよね。
触りたくないよね、嫌だよね。
…………嫌われたくないよー!!!いやああぁぁん!!!
「お、奇野じゃーん」
「がっくる!今は名字呼び禁止!!今日だけって呼べ!」
「んだよ、わけわかんねーなー。お、そうだ、今日うちのクラスに転校生きたんだぜ!」
そういや、砂漠の鷹が転校生に用があるっつってたな。
転校生かー、美形のイケメンで恋したいなー。
そう!恋しよう!!
「におーのみや…なんだっけ?」
「出夢、でぇぇえええっす!!ぎゃは、そんくれー覚えとけよ、まっかっか!」
「うっせー!日本人離れしたみょうちきりんな名前してんじゃねーよ!」
はい、一も二もなく、
反対側へ猛ダッシュ!
「あ、おい、奇野ー!?」
がっくるのおバカちん!
苗字呼ぶなっつたろーがあぁぁ!!!
バレる、またバレる!!
なんなのこれ、なんなのこれ、なんですのー!!!!
なんで、赤き制裁が学校に現れて授業受けてて、なんで天下の匂宮が氷帝に転校してきてんの!
しかもいやに馴染んでるし!!つっこめよ!
そいつ拘束具着てんぞ!おかしーだろ、あからさまに!!
なんだ、氷帝につっこみいないのか!?
大阪弁呼べ、あの関西建眼鏡呼べ、誰かぁぁぁああぁ、おっしったっりさぁあああぁぁん、指名入りましたよおぉぉぉ!!!
「呼んだか?」
「ぎゃあ!!んなマンガみたいな展開期待してねーし!」
「口悪いでー。で、どないしてん」
「あたしお家帰る!てゆーかツッコミお願いします!早退します!」
「…なんや、自分がボケかいな」
眼鏡叩きわっぞ、このインテリ!!
あたしじゃなくて、がっくるとうちのクラスの奴らにつっこめ!!
そしてあたしは家に帰る!!
「まぁまぁ、そうあわてーな。奇野にも紹介したるわ。今日な、うちのクラスに転校生がきてん」
あぁそうですか!
あたしお腹痛いから早退します!
帰る、おうちにかえるー!!!
「こいつって変わってるよなー。丸眼鏡にロン毛とか、マジきめぇし!」
「あんなー、普通は顔面刺青、耳にストラップつけとるほうが非常識でキモいですぅー」
「まともなツッコミだ!」
「おう、俺零ざ…………」
はい、いっせーのーせ、
まじありえねぇええぇぇええぇぇぇ!!!
なになになに、今日は殺し名大フィーバーですか!
殺し名一位と三位と、しかもそれに人類最強も混じって今日は大殺戮祭り☆ですか!
しかも匂宮本家じゃん!分家じゃなくて、本家じゃん!ばりっばりやべーし!
ありえねぇっつの!!!
なにこの死亡フラグ五本くらいまとめて一気に立ったよ!?たちましたよ!
まじなになになに、ごめんなさいごめんなさい、お願いだから死にたくなぁい!
あたし、呪い名だけど全然悪いことしてないもん!!
ムカつく友達インフルエンザにしてやったり、暇つぶしに麻疹はやらせたり、えいやっととある教師にシラミつけたりしただけだもん!!
お仕事で毒を渡すことはあるけど、直接的に人を殺したことはないもん!!
善良ないっぱんじんでーすぅぅ!!
「って、ぎにゃああぁぁああ!」
反対方向にダッシュしたら、匂宮さんがいらっしゃった!
逃げます!
反対方向へ!本能の赴くまま!!
「ひやああぁぁあああああ!」
反対方向には零崎様が!!
前門の虎、後門の狼!!(あれ、龍だったか…。間違ってたとしても、それは仕方ない!)
「なんだなんだぁ?おいユーシ、こいつどっかおかしいんじゃねーの?」
「んー、奇野ちゃんはいっつもどっか変やからなー」
ジーザス!
おいアホアホ忍足、お前まであたしを名字で呼びやがって、こんちきちょー!!
バレるって!それ、あたしが呪い名だってバレるって!!
殺し名の人たち呪い名が嫌いなんだから、ばれたら確実あたしころされるって!!
いやーあぁぁあああぁぁ!!
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