「可哀想」



手に、服に、体に血がつくのも厭わず、は胴体と切り離された首を抱きしめる。
ほろほろと涙を流し、切なげに顔をゆがめる。
それはつい先ほど自身が殺した敵のマフィアだった。
知り合いでもない、全くの赤の他人。
自分が惨殺した相手を哀れむ。

実に滑稽だ。

だが、美しい容貌を持つが惜しげもなくその瞳から涙を流し、血溜りの中生首をいとおしげに抱く姿は、綺麗だ。
例えそれがどんなに猟奇的であろうと、普段の横暴なを知っていようと、美しいものは美しい。
思わず抱かれている生首に羨望の念を向けてしまうほどに。

の涙が頬を伝って流れ落ちる。
それは血溜りの中に落ち、小さな波紋を立て、すぐに赤に飲み込まれた。
生首からは尚も鮮血があふれ続ける。



「ごめんね。でも、死んでもらわなきゃダメだったんだ」

「ごめんね。抱きしめて、哀しんであげるから許してね」



「ごめんね。ボクのために死んだこと、光栄に思いなよ?」



涙を溜めた目でにっこりと微笑み、血に濡れた額にキスを送った。
そしてぞんざいに放り捨てると、びちゃりと血が跳ねた。
既に血まみれのの衣服に今更少量の血が跳ねた程度では何も変わらない。



「さてっ、みんなでパーッと飲みに行こっ!!」



先ほどまでの哀愁を帯びた姿など微塵も感じさせず、は喜色を浮かべる。
ばしゃばしゃと血溜りを蹴り、血溜りの中に浮かぶ首を踏みつけた。
ぐじゅりと眼球がつぶれ、体液がどこからともなく染み出してくる。



「着替えちょーだい」

「ここに」

「んー、なんか気持ち悪い。シャワー浴びる」

「そりゃ血はキモチワルイだろーよ」

「やーん、もう脱ぐー」

「女みてーな声だしてんじゃねーよ!!」

「・・・やーん、王子が怖いー」



ぐちゃりと顔の半分潰れた生首は、もう美しさの欠片もない。
どこを映しているかわからない白濁した片目は、







2007 07 10


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