お子さま行進曲 ロジェと!



ちゃん、お金下ろしてどうしたの」

「プレゼント、買う!」


にこにこと返事した友人の言葉に、ロジェはそういえばおじちゃんの誕生日か、と脳内のカレンダーに書かれた予定を思い出した。
月々のお小遣いは食費に消えていくだけど、意外にも貯金は結構しっかりしている。
管理は主に保護者だが、お小遣いとしての使用の制限してはいないので時折引きだして使っている。
おバカでもきちんと月々のお小遣いとの使用区分はわけて考えているので、特に怒られる事もない。
大人の非常に多い家に子供が一人でいる家なので、誕生日やお年玉などで預金の額はロジェが妬んでしまいそうになるほどである。
日本でもっとも有名で好かれている人物の描かれた紙幣を何枚か財布に入れ、いつも通っているショッピングモールへと二人は繰り出した。


「今日は何買うの?」

「んー、びびっときたもの」

「決めてないんだ。予算は?」

「三万円くらい」


意外にセレブなんだよね、ちゃん。
自分のことには無頓着なのに、人のものとなると途端いいものを買うようになる。
一度自分にも投資してみたらどうか、と言ってみた事があるが、やっぱり自分はどうでもいいらしい。
ただ、相手の事となると “似合うものが良い” と、言っていたのを覚えている。
相手に似合いそうなものを見つけると、値段を気にせず買っている。ここら辺はお金に無頓着な保護者と良く似ている。
自分との過去を振り返ると、趣味に合わないものもいくつかあるが、確かにいいものを貰っていた。

マルコは普段からシンプルだがブランドものできっちり揃えているし(おそらく本人にそんな趣向はなく、ただ趣味に合うものをそろえていたらブランドで揃ってしまっただけだろう)、安物だとどうしても浮いてしまう。
予算の三万円は、一体何に化けるのか。
普段なら無縁のメンズのブランドが立ち並ぶ階をねり歩き、あーでもないこーでもないと悩むに付き合う。
一応一緒にいるのだし、あれは?これは?とアドバイスするが、マルコの誕生日プレゼントはにしかわからない。
悔しい事にマルコとの間にロジェは割って入れない。
時々ちょっかいをかけて遊ぶものの、二人の仲が崩れることはない。
羨ましくないなんてことはないし、そこに妬みの感情がないわけでもない。
でもそれは言いだしたらきりがないから、邪険に扱われているわけでもないので割り切ることにする。
どうしても我慢できない時は、ちょっとだけ介入させてもらうけれど。


「よし、これ!なんだかんだで、マルコ小銭って持たないんだよねー」


が選んだのは、革製の小銭入れだった。
大人の男性は小銭を持つことを嫌うと言うが、彼はじゃらじゃらと小銭をポケットに入れているイメージがあるなぁ、と思った所で首を振った。
ロジェの思い描いた男は、マルコではない。マルコではないけれど、ふと思い浮かんでしまった。
なんだかとても気恥ずかしくなった。誕生日は半年近く先だし、今から、か、考えておかないことも、ない、かな!
ちらりと店内にある男性用の小物を手に取り、値段を見る。頑張れば、買えない事もない値段だった。
いいな、と思った所で会計を済ませたが戻ってきて慌てて商品を元に戻す。
が、どうしたの?と声をかけるが、なんでもない!とことさら大きな声で答えて踵を返す。


「買い物終わったんなら、何か食べて帰ろ!」

「うんっ!今日はホットケーキ気分!!」

「じゃあ、あそこのカフェかな?」


雑談しつつ、ロジェからマルコへの誕生日プレゼントはなにをあげようかな、と思案する。
真剣に誕生日プレゼントを選んでいた友人に免じて、普通に祝ってあげようかな、なんて思ってしまった。






これ、誕生日夢だけど誕生日おめでとう夢ではないよね!!!!
2011/10/05