お子さま行進曲 ロジェと!



「あ、結婚式やってる」
ロジェが指さす方向を見ると、公園の一角にある白い建物に人だかりが見えた。
「ほんとだ」
「花嫁さんか、いいねぇ」
「ロジェ花嫁さんになりたいの?」
「ううん、パパがまだ駄目だって。でもドレス可愛いよね」
お喋りしながら近づいていくと、参列者が笑顔でおめでとうを繰り返しながら新郎新婦に米を雨の様に振りかけている。見た事のない光景に、は首を傾げた。
「何か投げてる、何だろ」
「ライスシャワーだよ。ちゃん知らないの?」
「知らない、見たことないし」
はぶんぶん首を振る。たとえテレビ等で見たことがあっても、興味がないので忘れてしまっているのかもしれない。
「ライスシャワーっていうのはね、式の参列者が結婚に対する祝福を込めて、新郎新婦に降らせるものだよ」
「へー!何で米?」
「お米はね、豊作の象徴だからだよ。これからの二人が実りある生活を送れる様に、食べるのに困りません様にって事」
「うん、食べられないの困るよね」
神妙な顔で頷くに、ロジェはにこにこと話を続ける。
「節分の豆まきみたいに、力いっぱい投げつけるんだよ。ぶつかる勢いが強ければ強い程、福を招くって言われてるんだ」
「へー、そうなんだ!ロジェすごい、物知り」
「そりゃぁ、僕はちゃんとはここの出来が違うもん」
ふふんといつもの嫌味な笑みを浮かべながら、ロジェは自分の金の髪をつんと指さした。


後日親戚の結婚式に呼ばれて行ったは、ライスシャワーを渾身の力で投げつけて式に混乱をまき散らし、当然の如く叱られた。


「ロジェー、ひどいよをだまして」
暫くして家に遊びに来たロジェに、はぷぅと頬を膨らませて抗議する。その頭にはたんこぶが出来ていた。そんな彼女に、毎度毎度騙される自分の頭の程度を嘆け、とライスシャワーの件で方々に謝罪させられたマルコは小声で毒づく。
むくれると不機嫌そうなマルコを交互に見て、ロジェは不必要にさわやかな笑みを浮かべた。
「ああ、あれ?ごめんねちゃん、僕ちょっと勘違いしちゃってたんだー」
「そうかー、勘違いならしかたないね」
「…………」
後ろで俯き眉間を抑えるマルコの肩を、通りすがりのイゾウが大いに同情を込めてぽんと叩いた。