
お子さま行進曲
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ふやー、という気の抜けるような泣き声が聞こえて、サッチは食堂を覗いた。 案の定そこにはがいて、やっぱり泣いている。 ふやふやと顔をあげて喘いでいたと思ったら、つっぷしてわうわう泣きだした。 本格的な大泣きである。 サッチは食堂に入り、どうした、と声をかけた。 「うわぁえうあぅあうぇぅ!!!」 「わかった、聞いてやるから落ち付け!涙と涎も拭け!!」 サッチの姿を視認した瞬間、はその瞳に溜めていた涙を一気にあふれされ、もはや人語を介していなかった。 飛びついて来たを抱きとめ、背中をたたいてやる。 それでも落ち着かないのか、わんわん泣くのが止まらない。 腕に抱き直し、テーブルに置いてあったティッシュでごしごしと顔を拭いてやる。 一瞬おとなしくなり、涙と涎が少しはマシになった。 ぐしょぐしょになったティッシュを丸めてゴミ箱へ投げる。 しゃくりあげるは少しは落ち着いたらしい。 「で、どうした。誰かにいじめられたか?マルコに怒られたか?」 「ほ、ほっとけーきっ!!」 「ん?お前が食ってねぇなんて珍しい。腹でも痛いか?」 「たべちゃ、だめぇ……うあぁぁぁん!!!」 再び大泣き。 泣きながら要領を得ない説明を聞いて行くと、どうやら、マルコがにホットケーキを食うなと言ったらしい。 もちろん意地悪じゃなくて、我慢の練習ということでマルコがよしといえば食べていいらしいけれど。 「まうこ、いっちゃっちゃ…の、ほっとけーき…ふわぁぁぁん!!」 要約すると、にマテを命じたマルコがよしと言う前に他の船員に呼ばれて行ったっきり帰ってこないらしい。 律儀な事にちゃんと食べずに待ってるは、焼き立てほかほかふっくらホットケーキが段々冷めてぺったんこになって行く様を見て悲しくて切なくて泣いていたとのことだ。 子供は感性豊かと聞くけれど、は食べ物に関しては抜群の感性を持っている。 ホットケーキが冷めていくのを見て泣く子供なんて、きっと以外いないに違いない。 感性豊かといえば聞こえがいいけれど、その実状は食い意地が張っているだけだ。 「ちなみに、どんだけマテしてんだ」 「…とけいが、さんから、ごに、かわった」 「二時間!?お前二時間もお預けくらってたのか!そりゃ泣きたくもなるわなぁ…」 飯と見れば周りかまわずがっつくをしつけたくなるマルコの気持ちもわからないではないが、これはどう考えても、忘れ去られている。 マルコはしつけには厳しいけれど、流石に二時間は…ないだろう。 他人のしつけに口を出すつもりは毛頭ないけれど、忘れ去られて泣いているはよくやったんじゃないだろうか。 というよりも、の事を忘れているマルコが悪い。 よくやったという労いを込めての頭を撫で、サッチは笑う。 「、マルコには俺が言っとくから、ホットケーキ、食っていいぞ」 ← □ → 2010/12/06 |