お子さま行進曲



初めてその夢を見た時の事は、あまり覚えていない。
目の前に戦火が広がっていたと思えば、あっという間に視界がブラックアウトしたからだ。

二度目にその夢を見た時は、一度目より長かった。
そもそもなぜ同じ夢と断言できたかというと、なんとなくだ。
夢の中、あァ、前の続きか。と漠然的に感じたにすぎない。
今度は森の中に居て、ぼんやりと立っていた。
頭の上を何かが通り過ぎるような気配がしたので仰ぎ見ると、逆光でよく見えなかったけれど何かがいた。
そしてまた、視界がブラックアウトした。

三度目は体を動かす事が出来た。
古い町で、生活水準も低そうな、海のない町だった。
イゾウのような服を着た人間ばかりで、あれは確か、キモノというんだったか。
見た事ない町並みに物珍しさから歩いていれば、一つの店に子供がいた。
粗末なキモノを着た子供の後ろ姿に、どこか見覚えがあった。
子供の名前を呟こうとしたら、人にぶつかって視界がぶれた。
次の瞬間には、子供はいなかった。


「あさー!おはよー、マルコ!!」

「あー…、どけ」

「おきる?」


体の上に乗っかるをつまみ上げ、布団から身体を起こした。
は起きろ起きろときゃいきゃい騒いでいる。
最近よく夢を見るものだから、眠りが浅くて寝た気がしない。
そこへいつも通り元気はつらつでやってくるは、元気すぎて鬱陶しい。
ぽいっとぞんざいにほおり投げると、持ち前の運動能力でくるりと一回転して綺麗に着地した。
そういえば、と何か聞こうとしたのだけれど、何を聞こうか忘れてしまった。
何気ない日常が、始まる。