■変人 x ( 未来人 + 宇宙人 + 超能力者 + 一般人 ) + 魔女っ子 = ∞
「そうだわ、今思えばそうじゃない!」
またもやハルヒがなにか良からぬことを考え付いたようだ。
どうしてこの見た目美少女、中身変人は何の前触れも無く騒ぎ出すのだろう。
今回もきっといつも通り珍妙珍奇な思い付きをしたに違いない。 きっとそうだ。
そして、こんな時はいつも俺やら朝比奈さんやらが被害にあうんだ。
あぁ、ハルヒ。 頼むからいつもより少しでいい、少しでいいからマシで尚且つ俺らに被害が来ないような思い付きをしていてくれ。
「未来人宇宙人超能力者意外にも居たじゃない」
「なんだ、今度は何を募集したいんだ」
「決まってるわ、魔女っ子よ! 萌キャラかつ魔法使いという1粒で2度美味しいキャラがいないじゃない!!」
「あー、そうか、そうだな」
そうか、今回は魔女っ子と来たか。
また無謀なことを思いついたな、ハルヒよ・・・。
確かに、百歩以上譲って未来人宇宙人超能力者は現実に居るとしよう。(本人は気付いていないが、この部室に全て揃っている)
だが魔女っ子はどうだ? いや、このパターンなら現れても可笑しくは無い。 可笑しくはないが・・・!
それでも矢張り無謀だと思ってしまうのは俺だけだろうか?
まず、現実に考えてありえないだろう、魔女っ子なんて。 (この部室に未来人宇宙人超能力者というありえない組み合わせが存在しているが)
魔法なんて非現実的だ、超常現象だ、この科学の時代にそんなものあるわけないだろう。 (未来人はタイムマシンで未来からやってきて、宇宙人は意識だけ飛ばして地球に来ているし、超能力者は超能力者だからいいんだ、ありえなくない)
まぁ、かなり無理のあるいいわけだとは自分でもわかっている。 わかっている、が!
流石に今度のハルヒの野望には無理があるだろう。 と、言うかここで魔女っ子まで揃ってしまったらどうなるんだ?
まさかまた三年後にうんたらかんたら、というパターンでやってくるのか? 一体お前は何者だ、ハルヒよ。
「ひゃあ!?」
「・・・・・・・・・・・・・・」
「おや、お客さんですか?」
上から未来人、宇宙人、超能力者。 って、お決まりのパターンなのか? そうなのか!?
俺の目が可笑しくなければ、異常でなければ、正常どおり機能しているのなら、今現在俺たちSOS団の部室に突如として現れたのは見紛う事なき魔女っ子だ。
黒い大きな三角帽子、同じく黒のマント、何故かセーラー服で、その手にはお決まりの魔法ステッキ。
あぁ、神よ、いるのならばなぜこうもハルヒばかり贔屓するのだ。 美少女だからか? もしそうでなければもう少し俺に運をくれてもいいと思う。
「あ、えーと、初めまして、魔女っ子です。 すみません、間違えました」
「待ちなさい! 貴女、魔女っ子よね?」
「はい、魔女っ子ですが」
「だったらいいわ、貴女は今日からSOS団の団員よ!」
うむ、その気持ちわかるぞ、名も知らぬ魔女っ子さんよ。
ハルヒの突拍子もない発言に困惑する気持ち、痛いほどわかるぞ。 (なぜならば俺がいつもハルヒの発言に困惑させられているからだ)
「せっかくのお誘い申し訳ないのですが、わたくしも一応学校に通っておりまして、こちらの学校の部活動に参加する事は出来ません」
「あら、どうして? 別に部員なんてこの学校の生徒じゃなくてもいいのよ?」
嘘をつくな、嘘を。 (ちなみに、我校では部外者は校内立ち入り禁止だ。 部活なんできるわけが無い)
「そうなんですか? でも、わたくし色々と忙しい身なので滅多に顔出せませんよ? っていうか、面倒臭いので出来ることなら一生来ないつもりです」
流石ハルヒの周りに集まる人物。 一筋縄じゃいかないな。
っていうか、皆個性強すぎだと思うのは俺だけか? (いや、俺は違うぞ、一般人だ)
「問答無用! 貴女にはSOS団の団員になってもらうわ!!」
「それでわたくしになんの利益が?」
「ビジネス交渉ね、いいわ、のりましょう。 んー、そうね・・・、例えばなにがいいかしら?」
「わたくしは特に何も望みません、現状に満足していますので」
「それじゃあダメよ、貴女SOS団に入らないでしょ?」
「当然です」
「なにか希望があればこしたことはないんだけど」
頼むぞ、魔女っ子。 悪いが何も言わずにこの場を去ってくれ。
これ以上俺の生活に変なオプションをつけないでくれッ!!
「そうですね・・・、わたくしを手伝ってくれる人が居たら便利かもしれません」
「そう? なら丁度いいわ!! キョン! あんた今日から魔女っ子の使用人になりなさい!!」
にっこりとそりゃもう満面の笑みで笑うハルヒ。
無表情ながらも心なし微笑んでいる魔女っ子。
この不幸な俺に一体何を望むんだ? 肉体労働? 人体実験? モルモット?
とりあえず、俺に明日はあるのだろうか。
「えーと、そんなわけでSOS団に新しく入りました、です。 以後お見知りおきを。」
それ以来 (”それ” とは俺が魔女っ子に売られた時と、その魔女っ子、さんが入団した時を差す) さんはよく (と言っても週に1、2度) SOS団に遊びに来るようになった。 (それと引き換えに俺はほぼ毎日のようにさんの元で掃除やら洗濯やら家事一般を強いられているが)
涼宮ハルヒの憂鬱 2006 06 12