いつだったか、と敵対していた魔法律家が現れた。
の方はもう相手に興味を抱いてなかったが、相手は未だを覚えていた。
「禁魔法律家、・」
「あたくしの名前を勝手に呼ばないで下さる?」
「お前を裁く」
「あたくしは誰の指図も受けませんわ。あたくしをどうにかするというのなら、貴方を殺すまで。だってあたくしの殺生与奪の一切はあの方にあるのですもの」
書を開く、相手。
は醒めた目で相手を見た。
「あたくし、貴方になんか殺されませんわ。血の一滴すら流しません、肌に触れることも許しません、一切の事象を拒否します」
は踵を返しその場を去ろうとしたが、相手がそれを許さなかった。
開いた書で使者を呼び、に罰を下そうとする。
使者がの背後を取り、その体に触れようとした瞬間。
「死ねばいいのだわ。死ねばいいの。あたくしとキュラ様以外は、総て滅んでしまえばいいのだわ」
次の瞬間、使者が霧散した。
相手の書が燃え上がる。
の体が揺らぐ。
「地獄の業火を味わうがいいわ。という名はあの方に差し上げましたけれど、紅蓮の名はまだ持っていますの」
の体が発火し、その炎が空気を伝って相手に移る。
が禁魔法律家と呼ばれる所以は、その身体にあった。総てを嘗め尽くし灰にする地獄の業火を、操る業。彼女は炎に愛され、従えている。
ただ、それだけで周りのものはそれだけでを禁魔法律家と呼んだ。
紅蓮、と灼熱の呼び名をつけて。
だから、は自分を疎外し害をなす他の魔法律家を殺してまわった。集る蠅を殺して何が悪い。
「燃えなさい。二度とあたくしの前に姿を現さないように」
「あたくしは、こらからあの方とだけ生を共にするの」
「邪魔をするのなら、容赦いたしませんわ」
「」
「はい、キュラ様」
満面の笑みで返事を返し、はそのしなやかな腕に抱かれた。
「今日も何事もなかったかしら?」
「はい、キュラ様。キュラ様が心配なさるようなことは何も」
「なら良かった。可愛いが無事ならそれでいいわ」
「まぁ。キュラ様ったら。あたくしを傷つけるのも癒すのも、キュラ様次第ですもの。他の誰にも、あたくしはこの身を許したりはいたしませんわ」
断罪者と贖罪羊
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