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鉢屋三郎についての考察。
不破雷蔵
三郎は三郎だよ。
って、そう言ったらおしまいだよね。
三郎か。
三郎は今は僕の顔をしているよ。本当の顔は誰も見たことがないっていってるけど、嘘だよね。流石に。
こう言っちゃ揚げ足を取るとか言われそうだけど、家族とか母親とか見てるはずだし。生まれた時から別の誰かの顔をしてたら、その別の誰かが三郎の顔だよ。
でもまぁ、少なくともこの忍術学園で三郎の顔を見た人がいないのは事実だよね。だったら、三郎の顔は誰も知らないわけだ。
僕の顔をしてる三郎はみんな知ってるけど、三郎の素顔を知ってる人はいない。だったらさ、僕の顔をした僕じゃない誰かが三郎ってことになるね。
じゃあ、それが三郎である意味はなんだろう?例えば僕に化けた三郎が三郎じゃなくて他の誰かでも、全然問題ないよね。
だって他の誰かが僕に化けてても誰も気づかなかったら、僕の顔をした誰かは必然的に鉢屋三郎になってしまうもの。
じゃあ誰でも三郎になれるってことになるね。
もちろん三郎と同じくらいかそれ以上に僕にうまく化けることが大前提だけど、逆にそれできれば誰でも三郎になれるってことになる。
そうなったら、三郎はどこへ行ってしまうんだろう。だって三郎じゃない誰かが三郎になっても、誰も気づかないでしょ。
だったら、三郎の存在はいらなくなるわけじゃない。今の三郎は、僕の顔をしているって認識されてるね。
もし急に他の誰かの顔をしても、それは三郎ってわからないんじゃないかな。もっと言うと、三郎が三郎の本当の顔をしても誰も三郎ってわからない。
本当の三郎はどこに居るんだろうね。
本当を知らないっていうのは、意外と大きいんだよ。本当の顔はどんなの?本当の身長は幾つ?本当の体重は?本当の歳は?本当の性格は?本当の口調は?
もしかして、名前も違ったりするのかな。鉢屋三郎。
これも本当じゃなかったら、三郎は本当にいなくなる。だって、誰も知らないんだったらどうにでも出来るもの。
例えば、今僕の顔をしてる三郎がいなくなって、違う顔になって「これが素顔だよ。これが本当の鉢屋三郎だよ」って言うとそれが三郎じゃなくても三郎ってなっちゃうもの。
誰かが本当の三郎を知らないと、三郎は消えてしまうね。
さて、このことに三郎は気付いているのかな。
きっと気付いてるね、だって三郎は僕なんかよりよっぽど賢いもの。万が一にも気づいてなかったら、どうしようかな。やっぱり教えてあげた方がいいのかな。
でも、それはこれまで他人を演じて生きてきた三郎の生き方を否定してしまうかもしれないし、これまでの三郎の意義を殺してしまうかもしれないから怖くて言えないな。
うん、大丈夫だよ。だって三郎だもん。三郎は賢くて優秀だから、きっと全部わかってる。これが三郎の選んだ道で、選んだ生き方なんだよね。
僕は三郎がしたいようにすればいいと思うよ。
大丈夫、もし三郎がいつの間にか他の誰かになってしまっても、僕がちゃんと気づいてあげるから。
だから、三郎は三郎だよ。
あ、いつのまにか話がずれちゃったね。
えぇっと、結論だよね。
シュレディンガーの猫
これが三郎にピッタリの言葉じゃないかな。
2009/05/23
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