「気に入った!そなたをこの尾花丸のヨメに…」



尾花丸はいつもの調子で花の精に声をかけたが、途中でぴたりと口が止まった。
胸の中を駆け巡ったのは、あの子の笑顔。

(もういたくないよー)

にっこりと笑った顔を思い出すと、ぽっと胸に花が咲く。
開きかけた口を閉じて、思っていた言葉を仕舞う。
そして、新しい言葉を口にした。



「いや、すまぬ。わたしにはすでに心に決めたものがおるのだ」



笑って花の精に別れを告げ、木から木へと飛び移る。
何度も何度もよみがえる、あの子の笑顔。
ぽんぽん胸の中に花が咲いて、花畑を作る。
あの子と一緒にいたら、きっとずっと花畑にいるような明るい気持ちになれる。
あの子の笑顔と比べれば、花の精もさくらの精も霞んでしまう。



(わたしは、そなたをヨメに迎えたい)





“ヨメのひとりも守れぬようでは 一匹前のきつねことはいえぬ”
尾花丸のお嫁さんになるにはどうしたらいいでしょうか(真剣)
2009/06/11
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