、ちょっとこっち来い」

「ガープ中将、職務中は少将とお呼びくださいと何度申し上げれば」

「これ、預かってくれや」

「パパ、あたしいっつも言ってるよね?後先考えて行動してって。今度は一体誰の子なの!?」


ガープがに見せたのは、小さい男の子だった。
眼鏡をかけてて、いかにも臆病そうで。
今度はこれを育てろと?また子育てをしろと?
せっかくエースとルフィが巣立って海軍業務に従事できると思っていたのに。
しかしよくよく見てみれば、子供は雑用と大きく書かれたセーラー服を着ている。
もしや、海軍見習いとして預かれということなのだろうか。
いや、どうせガープの事だから預かれと言ったら全部の意味で預かれなのだろう。
うっかり言葉遣いが戻ってしまうほどには、も混乱していた。


「コビー、これは気性が荒くて言葉より先に拳が飛んでくるような鬼じゃが、まぁ、面倒見はいいから鍛えてもらえ」

「ガープ中将、お言葉ですがわたしにも都合というものがありまして」

「心配すんな、わしが全部やっといてやる!」

「うそだ!外回りに行って自分だけ暴れて、あたしに書類全部押し付ける気だ!!」

「察しがいいな、少将!!」

「嫌だからね、あたし絶対いやだからね!?」


ぶわっはっはと笑いながら去っていくガープと、残されたと少年。
結局ガープはの言葉に聞く耳もたず、押し付けるだけ押し付けて行ってしまった。
今に始まったことではないけれど、やっぱりあんまりだと思う。
ぽかんとしている少年を見たら、びくっと震えられた。
遅いかもしれないけれど、第一印象はしっかりしておこう。
仮にも自分は少将の地位を預かるものなのだから、と無理やり自分を納得させ、は少年を預かることを決めた。


「名は」

「こっ、コビーでありますっ!!」

「コビーか。海軍に入ったのだから、それなりの覚悟はあるな?」

「も、もちろんですっ!」

「背中に背負う正義の為、心身ともに捧げろ。それが出来ないようならとっとと去れ」


くるりと身をひるがえし、コートをはためかせる。
子供だろうと、海軍に入ったのだから甘やかしはしない。
コビーの目に、将校にのみ許される正義の文字が見えた。
同時に、肩越しにこちらを見ていると目が合う。
またびくりと身体が震えたが、ぎゅっと手を握った。


「ぼ、僕はっ!立派な海軍になります!!」






 
そうして、歩きだしたの後ろについて行った。
2010/11/19