「ぱぱ、どこいくの?」

「今日から暫くお前さんが過ごす所だ」

「ふぅん」


ガープの肩に張り付きながら、は周囲を見回す。
今まで見て来た森と、似ているようで随分違う。
の知っている森と、まず木が違う。そのせいで雰囲気も随分違う。群生している動植物もきっと違うのだろう。
本当に違う世界なのだなァとは思うけれど、元の世界でももっと南へ行けば同じ森が見られたことは、きっとずっと知らないままだ。

歩くのはガープに任せて、のんびりと森を見ていたら歩みが止まった。
前を向くと、木で出来た家があった。
そこでガープは扉をたたくでもなく、大声で家主を呼び付ける。


「おいダダン、出てこい!!」

「んだよ、人なら最近襲ってないよ」

「ちょっとこいつ預かれ」

「ハァ!?」

「ほれ、挨拶しろ」

だよ!」

「ハァァァァ!?!?!?!」


この弱肉強食、一切合切自給自足のコルボ山で子育てをしろだなんて、ガープも無茶な事を言うとダダンは思った。
ぱっと見る限り小さいし、子供だし、何も分かっていないような雰囲気だし、何より小さい。
預かった子供はガープの子供らしいが、本当に実子なのだろうか。
確かに威勢は良さそうだけれど、野獣と対峙したらすぐに死んでしまいそうだ。
掃除洗濯、雑用程度のことはやってもらう。
そもそも、押し付けられたのだから好きにしろという事なのだろう。
まさかガープも、本当にダダンが真面目に子育てするとは思っちゃいないだろうし。

去って行ったガープを見送ったまま、外で突っ立っていたダダンは隣に居る子供を見下ろす。
子供はすぐにダダンの視線に気づいたのか、なに、と顔をあげる。


「まァ、子供だからって容赦はしないよ」

「わかった」


へらりと笑った子供は、本当に分かっているのか。






 
2011/06/09