強さなど幾ら手にしようと満足することなどない。
他人がどれほどその強さを謳おうと、それは所詮他人の評価に過ぎない。
誰が自分を強いと言おうと、自分はまだ足りない。
強くなりたい。
誰にも膝を折ることなく、心を屈することなく、頭を垂れることなく生きていける強さが欲しい。
どんな敵をも一掃し、近づけさせない強さが欲しい。
世界の頂点に立てるほどの強さが、欲しい。
確かに自分は強い。
だが、それはまだ他の弱者に比べれば聊か抜き出ているだけであって、強者と比べれば自分より強いものなど腐るほどいる。
勿論、自分など足元にも及ばない強さのものもいるだろう。
あぁ、考えただけで足が、体が、心が震える。
確かにいる。
この世界の中、自分より強いものが。
それなのに、弱い自分はどうしてこんな所に留まっているんだ。
強くなりたい、強くなりたい、強くなりたい、
欲しい、最強と謳われる強さが。
「だから、ボクは行くよ」
「お止めください!それは余りにも危険です!!」
「違うよ、由紗。今のまま、中途半端な強さでいるほうがこの世界ではよっぽど危険だ」
「それならッ!それならわたくしが命を賭してお守り致します!!ですからどうか、どうか・・・!」
は手に持った銃をこめかみに当て、聖母の様に微笑む。
「?何やってんだよ、銃なんか頭に当てて。それじゃ、まるで」
「そう、ボクはこれからこの銃で自分の頭を撃ち抜くの」
「は?冗談でしょ?ねぇ、冗談だろ!?」
返事の代わりに、笑みを王子にも与える。
「アッディーオ。ボクは強くなりたいんだ」
そして、銃のトリガーを引いた。
コンマ数秒後、発射された銃弾は寸分の狂いなくの頭を打ち抜いた。
由紗は倒れ行くに駆け寄る。
王子は地に伏したを見て、頭を抱え首を振る。
反面の顔は酷く穏やかだった。
力なく倒れたの身体を由紗は強く抱きしめ、王子は現実を受け入れまいと強く目を瞑る。
は最期に言った。
ボクは、強くなりたい。
Ciao チャオ こんにちわ、さようなら
2006 07 02
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