「ねぇクロロ。ボク、強くなった?」

「少なくとも、出会った時よりはな」



クロロが言うと、は微笑んだ。
戦いは、がクロロの動きを封じた時点で決した。



「それでも、まだ俺よりは弱いけどな」

「今この時点では僕の勝ちだよ」



そう言うとはクロロに歩み寄る。
の念のせいで、の許しなくば動くことができない。
身体の自由一切を奪われたクロロは、動けない。

ばきっ

が、クロロの顔を殴った。
クロロは呻くこともよろけることもなく、何食わぬ顔で其処に立ち続けている。
けれど、決定的な一打。
これでの宣言していたとおり、この試合では完全にの勝利が決まる。



「少しくらい、痛そうな表情をしたらどう?」

「痛くないんだから仕方ないだろう」

「…ムカつく。でも、やぁーっと、殴れたよ」



ゆらり。
の影がかすむ。



「クロロ、ボク、強くなったよ」

「ああ」

「念願だったクロロを殴ることもできた」

「さっきの殴り合いでもいくらかボディに食らったけどな」

「これがハンデありの戦いだって知ってる。クロロが手加減してたのも、ね。悔しいなぁ、結局、最後まで本気で戦ってもらえなかった」



最後、という言葉にクロロはぴくりと顔をあげた。



「何度か、本気になりたけどな」

「いらないよ、そんな取ってつけたようなお世辞。そうだな、本気の一発なら、欲しかったかもね」



加減された拳は泣きたくなるほど切なかった。
お前はまだ弱い、と宣言されているみたいで。
でもは知らない。
その中のいくらかは、本気の一撃があったことを。



「アッディーオ、クロロ。ボクはこの世界に来てよかった!」







気付けば、クロロは解放されていた。
2009/03/09