「ただいまー」
ひょっこりとファミリーのアジトに帰ってきたは、べったりと深紅の血を纏っていた。
の歩いてきたであろう道筋は垂れた血液で血の道が出来ている。
今もが立っている位置には血溜まりが広がっていた。
そんなの血塗れな姿を見て、出迎えた由紗は顔面蒼白になった。
一見すれば返り血のように見えなくはないが、今もなお止め処なく滴り落ちる血が返り血でない事を物語っている。
「どうされましたッ!!」
「怪我は・・・うーん、重傷、かなぁ?とりあえず医者呼んでくれる?結構深いから内臓やられてるかも」
「なんてこと!おい、医者だ!医者を呼べ!!」
由紗は慌てふためき、の身を一番に案じたが、当の本人はいたって冷静だった。
呻くことも、痛がることも、泣くこともなく、ただ突っ立って、何かを抱えている。
「応急処置をいたします、こちらへ!今ここで貴方様を失えば、わたくしはどうしたらいいのです!!」
「大げさだなぁ、由紗は。別にボクが死ぬわけじゃないんだから別に良いじゃん」
「何を言っております!その出血では立っているのもやっとなのではないのですか!?」
「立ってられないよ。だからこうしてボクが抱えてる」
「は?」
「だから急いで。もうすぐ死んじゃうよ、この子」
ほら、とがその腕に抱えていたものを由紗に見せた。
血まみれのコートに赤子のように包まれていたのは、青白い顔の子供だった。
「死にそうだったから、拾ってきたの」
慈母の様に優しく微笑み、血まみれの顔になんの躊躇いもなくは抱えている子供に頬擦りした。
その光景を見た由紗は一気に肩の力が抜け、その場にへたり込んでしまった。
は怪我などしていなかった。
安堵し、安心して、思わずぽろりと目から涙が一粒こぼれた。
結果的に、彼が流したと思われていた血液はすべて彼の抱えている子供の血で。
重症だ、と言っていたのも子供の容態で。
が無事とわかった瞬間、また一粒、涙がこぼれた。
そして、荒々しく玄関が開かれる。
「医者が到着しました!」
2006 10 05
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