「正式に王子をインペラトーレのファミリーにいれてあげる」
告げられたのは、王子が十四歳のときだった。
「、オレはファミリーに入りたくない」
「どうして?すごく名誉な事だよ」
「誰かの下に付くなんて、真っ平ごめん。だってオレ、王子だもん」
「あぁ、まだそんな事言ってる」
「オレを王子と呼ぶのは、だからオレは王子」
すっかりにも、今の環境にも慣れた王子。
もうここにきて何年も経つ。
「じゃ、働いて。働いて、お金を稼ぐの」
「どうして」
「家賃。っていうか、生活費」
「何で今更。オレはの子供なんでしょ?だったら子供ってゆーことで払っといてよ」
王子も大分のことをわかってきたのか、彼の言葉にいちいち反応するような事はない。
「なんかねー、王子見てるともう子供じゃないかなって。そんな気がするの」
「気のせいだね」
「ううん、気のせいじゃないよ。だから、王子も大人の第一歩として自分で自分の食い扶持は稼ぎなよ」
ここで以前の王子なら、王子なのになんで働くの、的なことを言っていたのだが、そんな事はもう言わない。
言うたびにに罵られ、時には殴られたからだ。
もちろん、の言ってる事はもっともだったし、王子は反論する術を持たなかったので次第に言わなくなった。
今では王子というプライドはあれど、一般常識、自分がしなければいけない最低限の事はきちんと理解している。
「こんな年端も行かない子供を雇う馬鹿がどこにいるのさ」
「だから、ボクのファミリーに入れば良い!そうしたら給料を生活費として天引き出来るし、王子も仕事が出来るし一石二鳥!」
「やだね。どうしての下で働くんだよ。それが一番気に入らないよ」
「じゃ、自分で仕事見つけなよ」
「そうだね、暗殺者にでもなろうかな。オレ王子で天才だから超強いし」
「ボクが育ててあげたおかげだね」
王子はに育てられた。
もっとも、に育てられたのも嘘ではないのだが、由紗に面倒を見てもらった時間が長いのも事実。
王子の面倒を見るのに飽きたときなど、もっぱら由紗が王子の世話を焼いていた。
おかげで腕だけは一流だ。
なにしろに事ある毎に殴られていたため、自然と受身と頑丈な身体を手に入れたし、
由紗からは武器の使い方やら体術やら戦闘について多くを学ばされた。
そんじょそこいらの雑魚なんかは束でかかって来られようとも、一掃できる。
「うん、そうだね。暗殺者は良いね。時々うちの依頼も受けてよ」
「あぁ、最高値で請け負うよ」
こうして、王子はフリーの暗殺者になった。
同時に、の家を出て、独立して暮らすようになった。
巣立ちである。
2006 10 06
← □
(ランキング参加中、クリックしてくださると嬉しいです)