歩く通路に障害物はない。
廃墟となった建物は閑散としていて、窓も総て割られている。
剥き出しのコンクリートが寂しくて、けれど同時に懐かしさを感じさせた。
彼等・・・、彼は、元気にしているだろうか。
きっと彼のことだから、死に掛けても飄々としているだろう。
懐かしい。
けど、それはもう過去のことだ。
今は。
今は。
現在は。
ずん、と上から地鳴りのようなものが聞こえる。
ぱらりと埃が落ちてきて、鉄筋が軋む。
由紗から聞いた情報が正しければ、この上には死刑囚六道骸とボンゴレ一味が居るはずだ。
死刑囚、殺人者、惨殺者、裏切り、掟破り、同族殺し。
うふ、とは笑った。
残忍な言葉を並べれば並べるほどの胸が躍る。
六道骸とはいかなる人物なのだろう。
耳に聞く限りでは強いはずだ。
強くて、残忍で、人を殺すことに躊躇いがなくて。
うふ。
気分が高揚する、身体が疼く、腕が鳴る。
楽しみで、楽しみで仕方ない。
骸は強いのだろうか、強いに違いない。
自分は勝てるだろうか、勝たなければいけない。
万が一負けても、それはそれで愉快なのだけれど。
気がつけば、目的の扉はもう目の前だった。
中からは騒ぎ声や物音がする。
またずん、と地鳴りがする。
うふふ、は綺麗に笑った。
2007 12 19
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