今日もの我侭につき合わされた。
荷物もちをさせられたり(銃火器ばっか買うからめちゃくちゃ重かった)
話し相手させられたり(なんだよ、ヒバリヒバリって)
殴られたり(理不尽だ)

王子は疲弊し、ぐったりとソファに横たわる。
の家にあるものは無駄に高級品ばかりで、今王子が寝ているソファは王子がその身を預けるだけで深く沈んだ。
柔らかなその感触に包まれて目を閉じる。
今日の出来事が走馬灯のように頭によぎり、どっと疲れが出た。
自然と眠気が襲ってきて、ベットへ移動するのも億劫でそのままソファで転寝を始めた。










「王子ー、いるー?」



がいつものようにノックもなしでドアを開け、返事もないのに王子の部屋に入った。
王子の耳にの声はかすかに届いたが、まどろみの中返事はおろか目を開けることもできない。

王子の返事がないのには小首をかしげ、部屋をぐるりと見渡す。
するとソファの端から足がはみ出しているのが見えた。



「居るんなら返事してよねー」



がソファを覗き込むと、仰向けの王子が目に入った。
前髪が邪魔で、起きてるのか寝ているのかわからない。
さてどうしたものか、との目に入ったのは―――



「なんだ、寝てるの」



王子の目は確かに閉じられており、がどれだけ触ろうと動かない。
これを眠っている、と解釈したは適当なソファに座る。
確か何か用事があったはずだけど、もう忘れてしまった。
手持ち無沙汰になったは眠る王子に視線をやり、手を伸ばす。

そっと、頭を撫でた。










「な、に、すんだよ・・・」



むくりと起き上がった王子は頭を抱え込むようにしてソファの上に蹲る。
眠っていたのに、意識だけはあった。
体は動かないけど、頭は動いてた。
感覚だけは、しっかりとあった。

王子はそっと頭に手をやり、に撫でられた部分を触る。
その手を上下に動かし、がやったように自分で自分の頭を撫でた。
自分のとは違う大きい手。
どんな顔をしていんだろう、どんな気持ちだったのだろう。

もしかしたら優しく微笑みかけてくれていたのだろうか。
もしかしたら慈しんでくれたのだろうか。


愛しい、と思ってくれていたのだろうか。


王子はぎゅっと手を握り締めた。
嬉しいのか、喜んでいるのか。



「ありえねぇ。ほんと、なんなんだよ」

「いつもだったら叩き起こすだろ」

「闇討ちとかさ」

「撫でるだけ、なんて、拍子抜けだっつの」



こみ上げてくる幸福を堪え切れず、王子の顔に笑みが浮かぶ。
顔を上げて言いようのない幸せをかみ締めた。

しかし、ふと気づく違和感。



「なんか明るくね?」

「視界が広いっつーか」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ゛、お、おぉおわあぁぁああぁぁ!!」



前髪が、ない!
勢いよく辺りを見回せば、先ほどまでが座っていたであろう椅子と、王子愛用のナイフ。 ナイフ!
おそらくが王子の頭を触った理由は、切った前髪を払いのけるためだったと予測される。

そうだよ、おとなしいと思った!
あの馬鹿が何もせずに、頭撫でるだけで満足する性格か!
あぁ畜生!オレの感動を返せ!ちょっと、つーか、おもいっくそ喜んじまったじゃねーか、大馬鹿野郎!!
オレの前髪!前髪!

王子が慌てふためけば慌てるほど、はらはらと金糸が舞い落ちる。
鏡がどこかにかけてあったことを思い出し、急いでそれを探す。
見つけた鏡を覗き込むと、悲惨な光景が王子を待っていた。



なんか死ねー!!!」







Ma ama. Mio Padre.
2007 07 31
 

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