が日本に来て、もう幾日か過ぎた。
その間にこれと言った出来事は起こらず、
はのんびりと観光をしていた。



「そろそろ、帰ろっかな・・・」



ぽつりと漏らした声は、しっかりと電話越しにイタリアに居る由紗に聞こえていた。



『お帰りになられるのですか?』

「うーん、そうしよっかな」

『お早いお帰り、心よりお待ち申し上げております』

「由紗は嬉しそうだね」

様とお会いできますから』



電話越しに聞こえてくる由紗の声は、確かに嬉々とした雰囲気だった。



『それで、お帰りになられると言う事は全てお済になったので?』

「まーね。ジャポーネのマフィアは大した奴いないよ、いても精々中規模クラス」

『ならばわざわざ潰しに行かずとも、権力さえあれば屈しますね』

「うん、つまんなさそうだった」



『ボンゴレファミリーはいかが致しますか?』



今回、が日本に来た本来の目的だった。
名目上は遊びに行く、と言う事だったが、
その裏では日本のマフィア事情を知る、と言う観察染みた仕事を担っていた。
その最もたるが、現マフィア界のゴッドファーザーであるボンゴレファミリーの次期当主、
ボンゴレ10代目の視察だった。



「別にいいや、ほっといて」

『左様で』

「だって、怖いのはリボーンだけだもん。後はみーんなお子ちゃま。
そりゃ、後々には強力な部下が出来るかもしれないけど、慌てて潰すほどじゃないよ」

『それでは』

「全面戦争は10代目がボンゴレのドンになった時にするよ。その方が簡単そうだし」

『わかりました。では、現状維持のままで宜しいですか?』

「んー、まぁ、ボクが帰るまではそのままにしといて」

『仰せのままに』



がちゃりと受話器を置いて、電話を切った。
ホテルのスウィートルームの一室。
広く豪勢な造りの中、は悠々とソファに腰掛けていた。
花瓶に挿してある花を一輪手折ると、折れた花はくたりと頭を垂れる。
ぽきぽき と、花瓶の中にある花を順々に折っていく。
中には自分の付けた花の重さに耐えられず、ぼとりと落ちてしまうものもあった。
そうして花瓶にある全ての花が頭を垂れた時、は高貴に微笑んだ。



「ボンゴレも、他の全部のマフィアも、いずれボクの前に頭を垂れると良い」

「今直ぐじゃなくてもいいから、そのうち、ね」








「 Io lavoro una bambola.
Quella che funzionata non solo comunque, una bambola.
Il mondo manipolato. Nel mondo, sull'uomo nel mondo. 」








「さぁ、始めよう。世界を操るために」







ボクは人形を操るもの。 だけど操るのは人形だけじゃないよ。
世界も操るんだ。 世界も人も、ボクの思いのままに。
2006 04 01
 

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