
お子さま行進曲 ロジェと!
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リンリン、リンリンリン 「………」 チリンチリン、チリン、チリン 「……………おい。うるせぇ」 「うー?」 苛立ちの籠ったスモーカーの声が上から降ってきて、床に座っていたロジェは顔を上げる。彼女の小さな両手にはハンドベルが握られ、周りにも同じ形の色違いのベルがばらばらに置かれていた。 澄んだ綺麗な音の鳴る、色とりどりの美しいガラス製のベル一式はロジェの一番のお気に入り。スモーカーに連れられて行った店で見て、欲しい欲しいとだだをこねて買ってもらったものだ。ガラス製品は割れて危ないと渋るスモーカーの足に縋り、泣き、喚き、ねだってねだってようやくロジェが手にできたもの。大事に大事にしていたし、スモーカーも粗末に扱わなければそれでいいと言っていた。 それなのに、うるさいからやめろとは随分な言い様だとロジェはむっと口を尖らせる。 「きのうはそんなこと言わなかったじゃない」 「おれは別に音を鳴らすのが駄目だって言ってるんじゃねェ。仕事の邪魔をするなと言ってるんだ」 仏頂面のスモーカーの前には、机に散らばる書類の山。 休日まで家に仕事を持ち込んでいるスモーカーに、ロジェは露骨につまらなそうな顔をする。こうして仕事部屋に籠って紙っぺらと向かい合っている時のスモーカーは、いつもロジェと遊んでくれない。その上文句をつけてくるつれない態度に腹を立てて耳元でベルをリンリン鳴らしてやったら、ペンで頭を叩かれた。 「後でな、仕事が終わるまであっちで遊んでろ」 頭をさすっているロジェに、スモーカーは部屋のドアを指差す。あからさまに自分を追いやろうとするスモーカーの意図を察しロジェはむくれた。 「ふんだ、いいもん、そんなこと言うならおともだちとあそんでくるもん」 「おともだちだァ?お前に友達なんかいたか?」 べーっと舌を出して言うロジェの言葉を聞いて、本気で首を捻るスモーカーの顔にロジェの投げつけた新聞がばさっと音を立ててヒットした。 「スモーカーのばか!いってきます!」 「おいロジェ!ちゃんと片付けろ!」 怒って部屋を飛び出したロジェにスモーカーは慌てて声を掛けるが、ロジェは無視しそのままバタバタと玄関に行ってしまう。後に残されたスモーカーはチッと舌打ちし、やれやれと足元に散らばるハンドベルを見下ろして溜め息を吐いた。 癇癪を起こして飛び出すのはいつもの事だが、大事にするという約束だった筈だ。 「帰ったら説教だな」 椅子に座ったまま、床に転がるベルを拾い上げるスモーカーの耳に、バタンと玄関のドアが勢いよく閉まる音が遠く響いた。 ―――――――――― 「ふんだ、スモーカーのばか。かえってもいっしょにあそんであげないんだから」 ぷりぷりしながら道を歩くロジェだったが、目的地に近い石の塀を見つけて笑顔になる。 そびえ立つ大きな門からするりと入り込むと、落ち着いた佇まいの瀟洒な日本家屋が姿を現した。テトトトと敷石を渡り、広い玄関の前に辿り着きチャイムに手を伸ばすが、小さなロジェではどう頑張っても届かない。 「ちゃーん、あーそーぼー」 近くに踏み台になりそうなものもなく、困ったロジェは直接バンバンと玄関扉を叩きながら目当ての人物の名を呼んだ。 「へいへーい、今開けますよい」 暫くして訪問者を迎えに出た人物は、曇りガラス越しの小さな人影を見て顔を綻ばせた。ガラガラとドアを開くと現れる予想通りの人物を見下ろし、歓迎の笑みを浮かべる。 「おー、いらっしゃい」 「マルコのおじちゃんこんにちはー、ちゃんいる?あそびにきたよ」 「今縁側で昼寝してるとこだから、庭から行った方が早いよい」 手招かれてそのまま縁側に行くと、日当たりのよい場所で大の字になって寝ているがいた。添い寝しているリーゼントの男が、にやにや笑いながらぐーぐー寝ているのおなかをくすぐっている。 「おい、サッチ。にお客だよい、起こしな」 「うん?お客?」 「はじめましてーロジェです」 ロジェはぺこりと頭を下げた。見知らぬ子供にサッチの目が興味の色に輝く。 「おー何だちっちゃいな、の友達か?」 「おい、ロジェちゃん来たよい、起きろ」 「むにゃ、マルコ」 マルコにゆさゆさと揺さぶられ、の目がのろのろと開く。むーと眠たげな眼が周囲を見渡してロジェの姿を捉えると、パチリと見開かれた。 「わー、ロジェだ!あそびにきたのかー?」 「うん」 ぴょいと飛び起きてはしゃぐを目にして、やはり子供は子供同士で遊ぶのがいいと結論付けた大人二人は、そっと目配せしあうとこっそりその場を去った。 「ロジェ、なにしてあそぶ?かくれんぼ?」 「んー」 問われてロジェは考え込む。そういえば、考えていなかった。 しかしかくれんぼや鬼ごっこ等、頭を使わない遊びでは到底ロジェはに敵わない。ロジェは少し考え込んだが、やがて笑顔で頷いた。 「…じゃあかくれんぼしよ!ちゃんが鬼ね」 「わかった!」 満面の笑みで張り切ると対照的に、ロジェはにやっと悪い笑みを浮かべた。 ―――――――――― 「ロジェみつけた!の勝ち!」 「うぉびっくりした!」 スパーンッと勢いよく開いた襖の先に、サッチに抱っこされたロジェを発見しては喜びぴょんと飛び跳ねる。 「つぎはロジェが鬼だ!わー!」 飛びつくと、ロジェはサッチの膝に座ったままの姿勢でとさりと床に倒れた。 そのまま動きもしなければ返事もしない。不思議に思ったが身体を揺さぶっても、ほっぺたをぶにっと引っ張ってもぴくりとも反応せずにっこり笑顔のまま一点を見つめている。 はぱちぱちと瞬きした。 「うごかない。…ロジェ?おーい、ねてる?」 「そりゃァお人形だからな、動かねェさ」 呆然と見ていたサッチは我に返ると、にやにやしながら『ロジェ』の髪を撫でる。 は首を傾げ、眉を寄せる。お人形?ロジェが? 「ロジェはにんぎょう?」 「違う違う、こりゃあのチビちゃんそっくりだが人形だ」 ロジェじゃない。ロジェそっくりの人形。 理解したはおおお!と驚嘆の声を上げた。 「おーすごい!ロジェそっくり!」 は飛びつくと、目の前で揺れるハニーブロンドを引っ掴んだ。彼女の髪の感触が気に入ったのか、さらさら!と声を上げて目を輝かせている。ぐいぐいと髪を引っ張られても、作り笑顔のまま全く表情を変えずされるがままの『ロジェ』に、サッチは内心密かに感心した。 「おいおい、粗末に扱うなよ」 「あい、わかった」 は素直に手を離し、うーと唸って考える。 床下も天井裏も見た。鍋の中にもいない。どこにいったのだろう? 「サッチ、ロジェ見なかった?」 「……ん、見てねェな」 「そうかー」 じゃあさがしてくる!と来た時と同じようにはせわしなくバタバタと飛び出していく。 鬼がいなくなり、部屋の中に静けさが戻った。サッチが目だけで下を向くと、蜂蜜色がぷるぷる震えている。 「……ひっかかったひっかかった、ふふ、くすくす、えへへ」 悪巧みが成功し、喜ぶロジェはくつくつと声を殺して笑っている。 「悪ぃやつだなー」 ぼさぼさになったロジェの髪を直してやりながら、サッチもまた人の悪い笑みを浮かべた。こういう楽しいことは好きなのだ。 「ちょっとやってみたかったんだー。ありがとねサッチのおじちゃん、ぼくかくれてくる」 「がんばれよ!」 満ち足りた笑顔でそっと部屋を出ていくロジェの背中に、サッチは激励の意味を込めてグーサインを送る。 年齢も性別も越えた、共に何かを成し遂げた事により芽生えた友情がそこには存在していた。 余談だが、ロジェはその後冷蔵庫の中に隠れている所を、中身が全部出されている事を不審に思ったマルコによって凍える前に無事発見された。 ―――――――――― かくれんぼに飽きた二人は、の部屋で遊んでいた。身長よりも高く積木を積み上げるを、毛布を被ったロジェは賞賛に輝く目で見ている。 「よー、おやつ持ってきたぞー」 にこやかに二人分のジュースとお菓子の乗ったお盆を手に部屋に入ってくるサッチに、積木で遊んでいた二人の顔が揃ってパァァと輝く。 「わーい、おやつおやつ!いただきまーす」 「サッチなんだそれ!うまそう!」 「大人しく座ってろって!」 遊び道具を放り出してわーわーと足元に群がる幼児二人に纏わりつかれ、サッチは苦笑いしながらお盆をちゃぶ台に運ぶ。 「わー、ブッセだ」 「たべるたべる」 おやつに喜ぶはブッセにかぶりつき、ロジェはオレンジ色の液体で満たされたコップを口に運んだ。 「……????」 しかし口に含んだ途端に広がる苦味にロジェの笑顔が消え、眉が思いきり歪む。その味はロジェの予想したオレンジジュースの味ではなかった。 すぐに『飲めないもの』だと判断し、口に含んだそれを飲み込まずにべえっとコップの中に吐き出す。 「うお!?おいおい汚ねェことすんなよ!」 「へんな味がする」 「え?これのめない?」 ついっとコップを遠くへ押しやるロジェと、ブッセを食べ終えコップを手に取ろうとしていたに同時に注目され、うろたえるかと思われたサッチははっと鼻で笑った。 「おいおい、これはカンパリオレンジっていう立派なオレンジジュースだぜ?変な味とはご挨拶だなァ」 「うそだもん、そんなのコンビニでもスーパーでも見たことないもん」 「売ってるぜ?お前が見たことないだけさ、なァ」 「うん、カンパリオレンジはしってる!ビンに入ってるやつ!」 「え」 に笑顔で頷かれ、ロジェはうろたえた。 困惑しながら、スモーカーの背中に乗せられていつも行くスーパーの飲料売り場の記憶を思い返す。だが幾ら考えても瓶のオレンジジュースを見た覚えはない。オレンジジュースといえば、紙パックの100パーセントオレンジジュースだ。ロジェはそれ以外知らない。 「オレンジジュースはビンになんか入ってないよ!紙パックに入ってるもん!」 「…お前、安物ばっかり飲んでんだな」 「う る さ い !」 男の目に憐憫の情が混じったのを鋭く見抜きいきり立つロジェをまぁまぁといなすサッチに、手つかずのロジェのブッセをじっと見ていたは視線を動かしてにこにこと告げる。 「さけはまずいもんなー。もすきじゃない」 「…おさけぇ?ぼくにそんなの飲ませようとしたの?」 幼女のジト目を受けて、サッチはふっとニヒルな笑みを浮かべて顎に手を当てた。 「ばれちゃ仕方ねェ。実を言うとな、ジュースが切れちまって。で、水出すのもなんだと思ってな、カクテルなら味も似てるしこれでいいやと。……つーか正直買いに行くのめんどくさかったすいません」 土下座するサッチを尻目に、ロジェはじっとカクテルのコップを見つめる。 酒はロジェにとっては神秘に包まれたものだ。スモーカーはロジェの手の届かない戸棚の上に置くし、子供の飲むものじゃないと手に取らせてももらえない。 そうと分かってみれば、あれ程苦くてまずいと遠ざけた代物が何だか素敵なものに見えてきた。 こくり、と喉が鳴る。 好奇心に瞳を煌めかせるロジェは、ぐいっとコップを傾けた。 『あっ!!』 サッチとは口を空け、止めることもできずにぐんぐん減っていくコップの中身を凝視する。 「んぐ、んぐ、ん……………っぷは……やっぱりまずい」 「おー、いい飲みっぷりじゃねェか。お前将来飲んべいになるぞ」 嫌な予言をされて複雑な気分になるロジェの服の裾が、くいくいと引っ張られる。振り向くと、コップを持ったがロジェを見ていた。 「ロジェ、まずい?」 「うん、おいしくない」 「まずいのかー」 そう聞いて、は興味を失くした様にコップをテーブルに置く。それを見てロジェは瞬いた。 自分だけ飲むというのも、なんだか面白くない。 それにちゃんにも、『おとなのあじ』を教えてあげよう。 「ちゃん、飲んでくれたらこのブッセあげる」 「え!?わーい、わかった!」 狙っていたらしいおやつをちらつかせると、案の定は食いついた。さらりと同じ運命に引き込まれた幼児をサッチは哀れんだ目で見る。 「お前ほんと悪いやつだな」 「サッチのおじちゃんにいわれたくないよ」 「ん?そうか?」 首を傾げる駄目な大人を、ロジェは遠慮なく白い目で見た。 ふとなんだか顔が熱い気がして、ロジェはほっぺたを抑える。 もう酔ったのかな。酔うってどんな感じだろ? うぇーと顔を顰めながら、ぐいぐいとカクテルを飲むと水やら洗面器やらを用意するサッチを眺めながら、ロジェはどきどきと高鳴る胸を抑えた。 ―――――――――― 「スモーカーただいまー」 夕方になり帰ってきたロジェのやたらと機嫌のいい様子に、スモーカーの眉間に皺が寄った。どうやら出がけの事はすっかり忘れているらしい。 「ロジェ、ここに座れ……っておい」 「ただいまただいまー」 言葉を無視して膝の上に乗ってくるロジェに、スモーカーは気勢をそがれうろたえる。にへにへと締まりのない笑みを浮かべながらベタベタくっついてくる顔は、心なしか赤い。 「スモーカーすきー」 「………ロジェ?」 何やら今日は随分甘えてくる。 一瞬、叱られる事を察して媚びてきているのかとも思ったが、今までロジェはそういう行動をとったことはない。なんだかんだで自分が叱られるような事をしたと理解しているので、ぶちぶち自分は悪くないと口では言いながらも、大人しく座って説教を聞き最後にはごめんなさいと謝るのだ。 様子がおかしいと不審さを覚えたスモーカーは、猫の子のようにゴロゴロ甘えてくる幼児を引き離して小さな額に手を当てる。普段より熱い。 「…風邪ひいたか?」 「おさけのんだ」 「あァ!?」 舌っ足らずの声が紡いだ予想もしない一言に、スモーカーの口元から葉巻が滑り落ちる。慌てて拾いロジェの顔を覗き込むと、確かに酒の匂いがする。 「どれくらい飲んだ、おい!」 「コップいっぱい、かんぱりおれんじ。にがくてまずいおとなのあじ」 何のキャッチコピーだと突っ込みたくなる発言を聞き、スモーカーは顔を顰める。 ジュースだと騙され、甘いカクテルだから気づかず飲んだのか。こんな子供に酒を出すとはどんな家だ。 ぴるるる、ぴるるる 「!?」 突如響き渡る電子音に思考を遮られたスモーカーは動きを止め、電話口へと向かう。 「……むー」 通話しているスモーカーの背中をぼんやり見つめ、ロジェはふらふらと歩み寄った。ズボンの裾をくいくい引っ張るが、手だけで追い払われる。 そんなスモーカーの険しい表情に何やら不穏な気配を感じ、諦めずにロジェはスモーカーの片足にしがみついた。 「…」 不安げな幼児の顔を見下ろしてスモーカーは溜め息を吐くと、通話を切って足に纏わりつくロジェをひょいと抱き上げた。 酔いのせいかとろんとした顔をしているが、気分の悪さは無いらしい。 「大丈夫なのか?」 「ふわふわする」 「だろうな。…何で酒になんざ手を出した」 「のんでみたかったの」 「そうか、満足したか?」 問いかけにロジェはこくりと頷いた。もう喋るのも億劫らしく、眠たげに眼をこすっている。 素直で大人しいロジェを見ていると、どうにも調子が狂う。スモーカーは船をこいでいるロジェをそのまま部屋に運びベッドに下ろした。 「今日はもう寝ろ」 「…うー」 寝かしつけられて、ロジェは不満げに唸りながらも大人しく布団にくるまる。眠りそうになりながらロジェは口を開いた。 「ねぇスモーカー」 「なんだ」 「ぼくあしたも、あそびに行ってくるね」 「………。」 「ちゃんとあそぶの、たのしいんだー。スモーカーもいく?」 「……行かねェよ。興味はねェ」 お前一人で行って来い。 そう言ってやると、意図を悟ったロジェはにこっと笑って目を閉じた。 笑顔のロジェの髪を撫でてやると、もう寝たのかすーすーと静かな呼吸音が聞こえてきた。安心したようなその顔に苦笑が漏れる。 どうやら、もうその友達と遊ぶなと言われるのを心配したらしい。全く、子供は余計な方向に聡いから困ったものだ。 「おやすみ」 ぱたりと扉を閉めて葉巻を吸いながら、思いふける。明日の朝は二日酔いで苦しもうが、遠慮なしに説教してやろうと決めた。 ―――――――――― 「どうだった」 受話器を置いた途端に威圧感に満ちた声を掛けられ、サッチの頬に冷や汗が流れる。 「…いや、とりあえず平気らしい」 「そうかよい。…これで親御さんに嫌われて、に友達がいなくなったら、お前覚悟決めとけよい」 何の覚悟?とは、とても恐ろしくて聞けなかった。 傍に佇んだマルコの示す指の先には、お腹にタオルケットを掛けられたの姿があった。酔い潰れてぐったりした様子のを、傍で見守るイゾウは心配気に見下ろしている。 「よそ様の子供とに酒なんざ飲ませやがって、ちぃと悪ふざけが過ぎんじゃねェのかよい」 ぐいと胸ぐらを掴まれサッチは慌てる。マルコの目には確かな殺意が宿っており、本気で殺されそうな迫力を感じた。 「いや、だってよ、たかだか市販のちゃちいカクテル一杯くらいで潰れると思わねェだろ!?」 「そもそも最初から出すんじゃねェェェ!」 「ふべし!」 イゾウは激怒したマルコの鉄拳制裁を受けて床に伏せるサッチを呆れた目で見る。こうなると分かっているのに、何故やるのか。 帰って早々繰り広げられていた惨劇に何事かと思ってみれば、いつものサッチが原因とのこと。も酔っぱらってはいるが気分の悪さはない様子だし、医者に見せたらまァ大丈夫だろうとのことで、揃って胸を撫で下ろしていた。 しかし子守役のマルコからしてみれば、当然ながら笑って見過ごせる事件ではない。こっそりいなくなろうとしていたサッチは首根っこを掴まれて、哀れ血祭りにあげられる事が確定した。 サッチも、関係では普段冷静なマルコが簡単に修羅になる事くらいよく分かっている筈じゃないか。それでもこうしてちょっかいをかける無駄に不屈な精神にはある意味感心させられるが、とばっちりを食らいかねない身としては歓迎できない。 「……やれやれ」 ふと外を見ると、遠くの空がだんだんと茜色に染まり始めていた。そういえば、不在だった親父は夕飯前には帰ると言っていた事を思い出す。 もうあと一時間もすれば帰ってくるだろう。一家の中心たる彼が帰還した後、その先に待つのは惨劇か、それとも。 まァ、どう転ぶか分からぬものを考え込んでも仕方ない。イゾウは半ば諦めの境地に達して、いつの間にか寝てしまったを扇子でぱたぱた扇いでやった。 □ → ―――――――――― あとがき これが白ひげ海賊団員初書きとか。サッチがオチ役なのは仕様です。 そしてコトリちゃんがおバカになりすぎました、本当にすいません。 書いてて気づきましたが、ロジェは人をからかうのに全力で取り組む傾向があるので、私の脳内のサッチと相性がいいようです。 サッチ→面倒見がいいけれどちょっと良識に疎く、悪ノリするので結局困ったオッサン。 以上、真樹さんより。 真樹さんの通った道がわたしの通る道だ。 |