
お子さま行進曲
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「あ、ビスタだ!なにしてんのー?」 「愛剣の手入れだ。少しでも放っておくとすぐへそを曲げてしまうからな」 「もする!」 ビスタはマストにもたれて、愛剣の手入れをしていた。 はばきから抜き、油を拭い、刃を砥ぐ。 そこにがやってきたわけだが、にはこれが遊んでいるようにでも見えたのだろうか。 きっと何をしているかわからなかったに違いない。 は自分の獲物を一切持っていない、いわゆる手ぶらだ。 それなのに、何の手入れをしようと言うのか。 遊びじゃないんだぞ、と言おうとしてビスタは固まった。 一瞬目を離した隙に、の前にずらっと色々並んでいた。 短刀、匕首から始まり、くないに手裏剣、針にロープ。あといつの間にくすねたのか、ナイフとフォークとスプーン。 おいおい、どっから出した。 「あー、?これはどっから出した?」 「えとな、きぎょーひみつ!」 いや、十中八九服の中からだろうけど。 それにしたって、量が尋常ではない。いったいどこに隠し持っていたんだ。 はにこぱっと笑って、大量の武器を一つずつ手に取り様子を見ている。 すまん、はもっとバカで手入れもわからないと思ってた。とビスタは心の中で謝った。 「そら、砥石を貸してやろう。水はここだ、無駄に使うなよ」 「あいあいっ!」 * 「よーい」 「、マルコがきたぞ」 「んー」 しゃこしゃこと刃を砥ぐはそれなりに集中しているらしく、マルコが来たというのに生返事だった。 ビスタの方はもう打粉も油も塗って、すっかり終わってしまっている。 しかし量がかなりあるは、やっと2/3が終わった所だ。 使い捨ての消耗品らしく、砥ぐだけ砥いで終わりなのだが量が量だけに終わらない。 「ビスタと一緒だったのかよい。って、なんだこりゃ」 「の武器だそうだ。自分の武器の手入れは自分でやるのだと言っていた」 「つーか、よくもまぁこんだけ持ってたな…」 呆れてしまうほど大量だった。 壁を垂直に駆けあがったり、突然消えたり現れたり、こうして大量の武器をどこからともなく出してきたり。 雑技団とか奇術とか手品とか、どこかは曲芸めいている。 「ほれ、。オヤジが呼んでるよい」 話しかけても聞こえていないようなので、マルコはひょいっとを持ち上げた、ら。 「かるっ!?」 「うぉ、マルコなにをする!?」 「かるっ!!」 「にかいめだ!!」 軽かった。 ものすごく、軽かった。 普段と接する機会の多いというか、保護者の位置を確立させているマルコは当然の様にとよく触れ合っている。 抱き上げた時うでにずしっとくるし、背中に乗ってきたら重い。 でもそれは日ごろ鍛えているマルコ達他船員にしたら知れた重さだったし、それが子供と言うものだと思っていた。 だが、なにこれ、かるっ!! 今両手に持っているは、ものすごく軽い。 そのままぽいっと投げれば、結構な飛距離を叩き出せそうなくらい軽い。 何がどうしてこんなに軽い、ダイエットか体調不良か拒食か。 ちゃんと食わせているし、今朝もがつがつと食べていたはずだ。 それなのに、どうしてこんなに軽い! マルコの視界に入ったのは、広げられた大量の武器。 まさかあれ全部、服の中に仕込んでたんじゃないだろうなとマルコは引きつった。 どれけ重いものを、毎日四六時中持ち歩いていたんだ。 呆気にとられていたら、どうしたとこっちを見ているビスタと目があった。 思わず、パス。ぽいっと。 「ぎゃんっ!」 投げるのはよくないと思う、と思ったビスタだが、きっちりキャッチ。 「なんだこれ、かるっ!」 「な、軽いだろ!?」 「マルコのばかー!!」 軽い軽いと騒ぐ大人と、投げられたことにぎゃんぎゃん怒る。 意外と短かったの堪忍袋が切れた。 「あ!」 「「 ? 」」 明後日の方向を指差したと、うっかりそれにつられた大人二人。 その間にはビスタの腕から飛び降りて、広げていたくないやらを一気に仕舞う。 砥いでいると中の物もあったし、まだ砥げていないものもあったがおかまいなしだ。 所定の位置に全部仕舞い込むまで、僅か数秒。 オヤジの所へ逃げ込もうと駆けだすまで、あっという間だった。 ← □ → 刀の手入れ方法は、うっかり日本刀のです。西洋刀ってどうなんだろう。 にょてさんとこのお話で、ずしっと重いって書いてあったから妄想妄想。 2010/10/28 |