お子さま行進曲



「ぎゃーーーーーーー!!!!!」


翌日、船内にの悲鳴が響き渡った。
甲板にいたサッチがなんだなんだと身構え、次のアクションを待つ。
少ししたら、が全速力で駆けてきた。


「ぎゃーーーーーーー!!!!!!」


相変わらず叫んでいる、というか、顔を青くして半泣き状態でサッチに突進してきた。
どふっと腹に全速力で飛び込んできたを受け止めるというか、食らって一瞬動きが止まったサッチをよそに、はそのまま背後に回り背中によじ登る。
首にがしっとしがみつくと、なんかあわあわ言いながら震えていた。
という名の弾丸を食らった腹を撫でながら、遠慮なしに首を絞めてくるをなだめる。


「どうどう。取りあえず首を絞めるな」

「お、おわぁぁうあうあうあう」

「あー、深呼吸。深呼吸しろ。はい吸ってー、吐いてー」


基本驚いたりすることの少ないは、一体何に動揺しているのか。
いや、驚く事が少ないと言っても意外と小さな事で驚いている気がする。
電伝虫に悲鳴を上げ、不死鳥マルコに叫び、ジンベエにビビり、あ、意外とチキンだとサッチは思いなおした。
深呼吸してちょっとは落ち付いたらしいを抱き直し、どうした、と再び声をかける。


「お、おばけ!」

「あ?」

「おばけ、いた!!!みた!!!!!」

「こんな真昼間っからか?」


ぶんぶんと首を振り肯く
まぁの言う事だから、何かを見間違えたか海王類を見たか能力者の誰かを見たかそこらへんだろう。
あっちあっちとの指差すままに歩いて行くと、マルコの部屋までたどり着いた。
を見ると、中にいる、と言いたげに指をさすので、家主はいないだろうが一応ノックをして返事を待たずにドアを開ける。
すると目に飛び込んできたのは、若干疲れをにじませつつも報告書を書いているマルコの後ろ姿だった。


「おー、帰ってたんか。お疲れさん」

「今朝がた戻ったんだが…」

「いたーーー!!!マルコのおばけーーー!!!!!」


ぎゃー!と叫んでサッチに抱かれた状態でじたばたするの言葉で、サッチは全てを把握してしまった。
数日前の小さなイタズラが、まさかの中では生き続けていたなんて。
いやだって、いくらアホの子供だからといって普通仲間を食べるという事実を信じるか!?
要するに、の中でマルコはこないだの夕食で鶏の丸焼きとなって食べられた存在であって、つまりはもうこの世にはいないという事になっている。それなのに、今現在人間型のマルコが部屋に堂々といるのものだから、イコール幽霊と結論付けられたのだろう。
幽霊やお化けの類が怖いのは子供らしくて実にほほえましいが、バカも度が過ぎると面倒をみるのが嫌になってくる。
お前なァ、と疲れて肩を落としビビるをつまみあげると、泣き顔のよりもその向こう側にいるマルコと目があった。


「どーゆーこったよい」

「いや、いやいやいや、ちょっとまて、話し合おう」


ゆらりと幽鬼のようにゆらめくマルコを前に、ぎゃーぎゃー泣くをつまんだままどうしようかとちょっと彼岸を見たサッチだった。






 
白ひげ海賊団仲良くみんな一番隊隊長に怒られました。
そして再びが近づいてくるまで数週間を要したそうです(その間ちょっとハートブレイクした保護者)
2011/08/18