お子さま行進曲



「マルコー!!!おっめでとおおおお!!!」


がばちょ。
どこからともなく現れたは猛ダッシュでマルコの顔面に飛び付いた。
ぐきっといい音が響くが、周りの喧噪にかき消されてそれを目の前で見ていたサッチ以下数名以外気づいたものは少ない。
最早マルコの顔面ではなく丸まったがマルコの顔の位置にあるだけになっている。
ぐぐぐと首の筋力だけで持ち直したマルコは、べりっとくっついていたを剥がした。
ジョッキに入っていたのはビールだったはずなのだが、並々注がれていたはずのそれは綺麗にマルコの服にかかってシミを作っている。


「お、ま、え、は…!!!」

「おめでとーマルコ!ありがとーマルコ!!」

「いやそれよりもまずお前は俺に謝罪しろい」

「すまんマルコ!」

「それはそれで腹立つな…」


マルコにつまみあげられたままの状態では片手をあげてきりっと謝ったが、あまり誠意が感じられなかった。
ため息をつくマルコをよそに、ひょいとマルコの手から飛び降りたはマルコの濡れていない方の膝に乗りいつもより豪勢な食事に目を輝かせる。
マルコの膝によじ登り、最近覚えたフォークで目の前にあった薄いローストビーフを刺して切らずにべろんと持ち上げた。
てっきりそのまま自分の口に運ぶものだとばかり思っていたら、マルコの目の前にソースをぼたぼた零しながら肉がやってきた。


「マルコ、あーん!」


驚いた、食事中に他人に気を使うことがいつの間にか出来るようになってたらしい。
膝に座ったまま、ぐいぐいと肉を押しつけてくる。
そのたびにソースがマルコの服にかかるが、すでにビールまみれなので今更気にしても仕方ない。
口にするには大きすぎる肉にかぶりついてやると、うへへと嬉しそうな声が聞こえた。
視線をあげると、やたら微笑ましそうに笑うサッチ。
なんか腹立つ。
とりあえず祝ってくれているらしいの頭を撫でながら、口いっぱいに入っている肉の咀嚼に勤しんだ。


「あーん!」

「もご、や、まだ食ってる。もぐ、お前も食っとけ。うめぇぞ」

「きょうはマルコおめでとーのひ!」


だから自分は食べないとでも言いたいのか。
こうして祝ってくれるのは嬉しいが、が夕食を食べ逃してしまってはいけない。
自分からは食べなさそうなので、適当な大きさに切った料理を同じくフォークで与えてやる。
素直に食いついた。
なんだかんだ言って腹が減っていたらしい。
すぐ食べ終わってまたぱかっと口を開く。
そこにまた食べ物を運んでやる。
以下繰り返すこと数回。


「はっ!おいしいけどなにかがちがう!!」

「違わねぇよい、ありがとな」

「もぐ。マルコおたんじょーびおめでとう!?」

「へいへい。ほれ、もっと食え」

「もぐもぐもぐ」






  
2010/10/05