お子さま行進曲



寂しい。
そうだ、寂しかったんだ。
マルコがまるで知らない人みたいで。
の知らないマルコみたいで。
いつも一緒にいたのに、女の人のことなどまるで匂わせなかったのに。
それが急に、こんなことになってしまって。
マルコはずっと一緒にいて、知らないことなんてないと思ってた。
それなのに、あの日見たマルコはの知らないマルコだった。
それが、寂しくて、マルコが遠くに行ってしまったみたいで、寂しかった。


「どうしよう、マルコが、をおいていっちゃう…」

「マルコと一緒にいたいか?」

、マルコと一緒がいい。離れるなんて、やだ」

「でも、マルコもいつか好きな奴ができるかもしれねぇぜ?ほら、こないだもナースのヘレンが好きな奴出来たって船降りただろ」

「マルコは、隊長だから、そんなこと、しない、よ」


想像してみて悲しくなった。
もしマルコが船を降りたら、は寂しくて死んでしまうかもしれない。
好きな人がいて、両思いなら祝福する。
おめでとうって、笑っていえる。
でも、マルコと知らない女の人が幸せそうに笑っている中に、はいない。
マルコのそばにいるのはじゃない。
は一人、マルコを見てる。


「なんで泣くんだよ」

、ずっとマルコと一緒にいたい。でも、マルコには好きな人が出来て、二人でいて、そこにはいない」

「そりゃそうだろ。第一お前ももう子供じゃねぇんだ、マルコがいないくらいで寂しいとか言ってんじゃねぇよ。エースがいるだろ、エースが」


そうだ、船には仲間、家族がいる。
エースだってサッチだって、ジョズやビスタや、オヤジだっている。
寂しいことなんて何もないのに。
あれ、どうしてだろう。
ふと流れてた涙が止まる。


「そうだよね、みんないるよね」

「おう、俺もいるぜ」

「みんなはずっといるよね?」

「たぶんな」


いつもみたいに、エースと喧嘩して、サッチに美味しいご飯作ってもらって、ジョズに肩車してもらって、ビスタと一緒に刀磨いて。
オヤジの上で日向ぼっこしてそのまま眠って。
いつもどおりの、楽しい日常で。
でも、マルコはない。
その事実だけがに重くのしかかる。
止まった涙が、また、流れ出す。


「それでも、マルコがいなくちゃいやだよ、寂しいよ」






  
2010/10/02