
お子さま行進曲
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視線を感じる。 振り返ると沢山の船員はいるが、視線の主はいない。 こちらをみていると明確に感じさせる強い視線なのに、振り向くとぱっと消える。 最初のうちは我慢できたが、数日間続くとなると嫌気も刺してくる。 こんな芸当ができるのは、モビー・ディック号の中に幾らでも居る。 ただ、それをマルコに対して行うのは、心当たりは、一人しかいない。 まぁその本人が本気でこっそりしたら、誰にもバレないのだけれど。 「!」 「ぴゃっ!」 今日も今日とて視線を感じ、振り向いて逃げられる前にその名を呼んだら、ビンゴ。 が小さな悲鳴が聞こえて、マストの上から降ってきた。 呼べば素直に来る所だけは、変わらない。 露骨にしまった!という顔をして、マルコの前に降り立つ。 「ば、バレた!」 「そりゃ何日かずっと続けば、誰でも気づくっての」 「なんてこった!」 「お前な、言いたいことがあるなら言えよい」 「なにもない、さらばっ!」 「あ、ちょ、待てっ、!!」 叫ぶように言って、が逃げた。持ち前の俊足で、全速力で。 最近、どうにもがつかまらない。 他の船員ではそうでもないらしいが、マルコの前に姿を現すことが極端に減った。 部屋にも遊びに来ないし、食事の席でさえ顔を合わせることが少ない。 エースやサッチ、イゾウやティーチの会話から察するに、いつもどおり元気に馬鹿やっているらしいけれど。どうして同じ船に乗りながら、風の便りの様に儚いものでしかの情報を得ることが出来ない。 かと思えば、先ほどの様にじっとこちらを見ているし、一体何なのだ。わけがわからない。 物陰でサッチが腹を抱えて笑っているのが腹が立ったので、とりあえず殴っておいた。 ← □ → 2010/12/28 |