■そうですね、少しは大人になりました。の巻
「では、沖縄へは旅行で」
「えぇそうなんです。 そうだ、この民宿どこにあるか知りませんか?」
帽子を拾ってくれた人が、好みのタイプずどんでした。
そうか、人外化け狐といい、わたくし、切れ長の瞳のクール美形に弱かったんですね。 新発見です。 へー。
ついでだから、民宿まで案内してくれたらいいなー、なんて色んな下心アリで聞いてみました。
帽子を拾ってくれた人は、道だけ教えてくれました。
世の中所詮こんなもんですよね。 へっ。
でも笑顔です。 あくまでつつましやかに、丁寧に。 それがわたくしの猫ですよ。
「わざわざありがとうございました。 帽子も、ありがとうございます。 ふふ、沖縄の方って優しいんですね」
我ながら見え透いたお世辞です。
でも、お世辞が嫌いな人なんて世の中そうそういないものですよ。
あぁ、出会いと別れは2つセット。 悲しいものですねぇ。
…そうだ、一応念のために聞いておきましょう。
「貴方のお名前、聞いてもいいですか? わたくし、と申します」
「木手永四郎ですよ」
「木手さん、最後にもうひとつだけ。 今、願い事ありますか?」
「おかしなことを聞く人ですね。 今は…、甲斐くんたちが真面目に練習してくれることですかね」
「そうですか。 やっぱり貴方、素敵な人です」
木手永四郎 2008 08 04
