■俺様何様跡部様
「はじめまして、こんにちわ、魔女っ子です。 唐突ですが貴方の願いを叶えて差し上げましょう」
シャランラ。
この俺様の前に現れたのは、真っ黒大きな三角帽子、同じく真っ黒なマント、マントの下にはセーラー服、先っぽに星のついたシンプルな杖を持った、見紛う事なき魔女っ子。
もしくはコスプレの変な女。
「今なら貴方の願いを1つだけ叶えて差し上げます。 原則として願いを無限に増やす、半永久的な効果を持続する、死者を甦らすなどのお決まりな禁止事項がありますが、それ以外ならなんなりと」
「お前、頭大丈夫か?」
「はい、信じられないのは百も承知、ですがさっさと願い事を言ってくださいません? わたくし、暇なようで暇じゃない苦学生なんです」
さぁ、早く。
無表情で淡々と話す、この自称魔女っ子。
なんだ、ドッキリか、隠しカメラでも仕掛けてあるのか、試されているのか、俺は。
「馬鹿みたいに呆けてないでさっさと願い事言ってください。 あぁ、願い事が無いなんてふざけた事は言わないで下さいね」
「・・・・・・・・・・・・・・アーン、ふざけてこと言ってんのはテメェだろーが」
誰が魔女っ子だ、誰が。
この科学の進歩した時代、誰がんな非科学的なことを信じるかっつーの。
やっぱ、こいつはただのイカレたコスプレ野郎だな。
「家からゴキブリを追い出すとか、特定の人物の頭上に金盥を落とすとか、100万円を拾うとか、なんでもいいんでちゃっちゃと済ませてください」
「誰がんなちゃちい願いなんてするか、俺様はもっとまともな願いをするな」
「へぇ」
「 『今日の夕食は俺の好物であるローストビーフヨークシャープディング添え』 とかな」
「ラジャー、了解です。 迅速かつ的確にその小学生並みの願いを叶えましょう」
ピーリカピリララポポリナペーペルト 今日の夕食がローストビーフヨークシャープディング添えになーれ
待て、今のが俺の願い事になったのか?
しかもそれはドレミちゃんじゃないのか!?
「はい、貴方の願い確かに叶えました。 御協力感謝します」
シャランラ。
魔女っ子は一礼すると出てきたときと同じ効果音で煙のように消えていった。
やはり俺は騙されたのか? それともこれは新手の詐欺か?
一体なんだったんだ。
後に残された俺は、呆然としながら迎えの車を待った。
そう言えば、ここは氷帝の敷地内だぞ。
無断で部外者が入れるわけねぇじゃねーか。
それ以前に、俺の目の前に唐突に現れたな・・・・・・・・・・。
今日の夕食はローストビーフヨークシャープディング添えだった。
・・・マジかよ。
跡部景吾 2006 05 25
