ある日、子供が天井から降ってきた。
信じられない。
しかもその子供がえらい聞かん坊で、騒ぎまくる。
近所迷惑。
必死になって捕獲した。
手を噛まれる。
ぷちーんと切れて、近くに置いてあったブランケットをつかんで子供をくるんで捕獲した。
声は抑えられる。



「ほら、落ち着いて。よしよし、こわくない、こわくない」



ブランケットでくるんでるせいで、ふがふがもごもごとしか言えてない。よしよし。
子供を落ち着かせるには…とりあえず抱き上げて背中とんとんかな。
心臓の鼓動を聞かせると落ち着くんだっけ。よしよし、よしよし。



「大丈夫だよ、恐くないからね。よしよし、よしよし」



暫く子供を抱えたまま背中をとんとんして部屋の中を歩き回っていたら、いつのまにか子供はおとなしくなってた。
…窒息なんてしてないよね?
そっとブランケットをめくってみれば、子供はなんだか泣きそうな顔をしてた。
ぎくりとした。
こ、恐かったかな?大人げなかったかな?きゅ、きゅうに知らない所へ来て恐かったよね?ご、ごめんね?



「え、えーと、ご、ごめんね?」



顔を覗き込みながら謝ると、子供はもっと泣きそうな顔をした。
目を伏せて、若干震えながら、ぽつりぽつりと口を開く。



「知っていた」

「ん?」

「知って、おったのだ。わたしは、池の鯉をとろうとしておった。水面を泳ぐ鯉は煌びやかで、母様に差し上げようと。だが、誤って足を滑らせて、池の中に落ちたのだ。そしたら、ここにいて」

「うん」

「でも、けどっ!」

「うん、ちょっと、びっくりしちゃっただけだよね。もう大丈夫、恐くないよ、だいじょうぶだいじょうぶ」



捕まえた時みたいに捕獲するんじゃなくて、お母さんが子供を抱く時みたいに正面から、頭をなでなでしながら抱きしめた。
子供は、震えるだけで泣かなかった。





2010/01/18
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