「赤髪、悪いが貴様にかまっている暇なぞない。殺されたいのなら別だがな」

「ツれねぇじゃねぇか。男でもできたか?」


キンと互いの刀を弾く。
つい先日纏うことを許された正義を背負うコートをはためかせ、はシャンクスを睨む。
シャンクスとは十年を越える長い付き合いだ。
初めて対峙した時は、ロジャーの海賊団の下っ端と海軍雑用だった。
それが今は海賊の頭と海軍准尉なのだから、時の流れとは早いものだ。
シャンクスを捉える事が出来ないのは口惜しいが、こうして戦うのが嫌いではないのだから自分も甘い。


「よくわかったな。お前が素直に斬られてくれれば、私は早々にアイツの元へと帰ってやれる」

「なら、意地でも斬られてやるかよ。海軍の鬼ともあろうお方が、人間の男に惚れるなんてな」


海軍の鬼、皮肉ともとれるそれがいつからかの通称になってしまった。
殺した海賊の数は、既に数えられない。
狩った賞金首の総額は、既に10億を超える。
異例ともいえる早さと若さで准尉にまで昇格した背景には、幾百もの死体が積み重なっている。

海軍の鬼。
正義の為ならば、鬼の言葉さえ喜んで受け入れようじゃないか。


「そういうわけだ、さっさとご退場願おうか」

「御免蒙るな。引きとめて引きとめて引きとめてやるよ」






  
たぶんシャンクスのひとめぼれ。
2010/11/16