お子さま行進曲



床からのびる手を、その前にしゃがんで見る。
うねっと手が右へ曲がったら身体も右へ傾いて、左へ曲がると左へ傾く。
身体が傾いた時とんと何かに押されて、べちゃっとサニーの甲板に倒れた。
慌てて置き上がって周囲を見るも、誰もいない。
ついでに、ちょっと目を離した隙に生えていた手も消えてしまっていた。
頭にはてなマークを浮かべ口をとがらせるを見て、笑う人物が一人。
ロビンはしゃがんで、頬杖をついて微笑みながらの横に並ぶ。


「どうしたの?」

「なんかおされたけど、だれもいない?」

「ふふ、不思議な事もあるものね」

「こっちはふしぎなこといっぱいだからなー。てもはえるしなー!」


が笑うと、ロビンもさらに笑みを濃くする。
またにゅっと、の前に手が生えた。
すぐにはロビンから視線を逸らし、手に手を伸ばした。
捕まえようとすると、するりと逃げられる。
その場から動かない手なのに、するするとの手から逃れてばかり。


「つかまえた!」


ロビンの方を向かず、手に集中していたはやっとのことで手を捕まえた。
できた!という顔でロビンを振り向くと、やっぱりニコニコ笑っている。
しゃがんでいた膝に置いてあった手がついとあがり、ロビンは手を指差す。
つられて、も指の先にある手を見た。


「おめでとう。でも、何か変よ?」

「ぎにゃーーー!!!!!!!!」


が捕まえた手にもう一度目をやると、手のひらと腕から目玉がぎょろっと幾つも芽吹いていた。
驚いたが悲鳴を上げ、一目散に消えるように逃げた子供をくすくす笑いつつ、ロビンは立ち上がる。
それを見ていたウソップが、なんとも言えない表情でロビンを見ていた。


「お前、子供相手にえげつねぇことすんなよ…」

「あら失礼ね。遊んであげてただけよ」

「もてあそんだの間違いだろ」


ロビンの顔からは笑みが絶えなかった。






  
2010/12/21