うさぎ、うさぎ、何見て跳ねる



「働かざる者食うべからず、至極真っ当な意見であるな」

「そう思うなら働け」

「否や、働かず。我は食わずとも一向に構わん」



ベックマンは呆れ果てた。
世話になると豪語した通り、この男はまったく働かず、世話になるばかりだった。いや、実際は誰も面倒を見ていないし、世話をしているとも言えないのだけれど。
今日も今日とてごろごろごろごろ。
時折瞑想のような事をしていたりするが、基本何もしていないのがこのという男だ。
沢山の船員がいる中、一人だけ働かないのでは示しがつかない。
働けと誰が言っても聞かず、ついには副船長であるベックマンをも動かすことになったのだが、それでもは働かない。
働け、働かない、のやり取りはすでに三日目で、つまりの断食の日数を表す。



「働くくらいならば、食わぬ方を選ぶ」



そう言いきったは、生粋の怠け者だった。
業を煮やしたベックマンは、の飼い主である船長の元へと向かった。
のこの船への滞在を許したのは、船長であるシャンクスだ。
ならばシャンクスに抗議するのがもっともだろう。
なぜかもシャンクスの言うことなら、耳くらいは傾けて見せる。
今後を真似る阿呆が出てこないとも限らない。
このままでは船全体の空気が悪くなる。
いい加減船長に重い腰をあげてもらわねば。



「なら、根競べだな。あいつも人間だろ?そのうち根を上げるさ」



2011/01/23
back main next