どきり、と一度胸が大きく鳴って、その次にまさか、という自分を落ち着かせるための言葉を自分自身にかけた。
十円玉に置いた指が離れない?ちょっと力を入れ過ぎて、指が硬直してしまっただけに違いない。
ははっ、と自嘲する。
こんなお遊びに、一瞬でも焦ってしまった自分が可笑しい。
顔を上げると、桃城と越前は驚いたまま固まってしまっている。
思わず笑みがこぼれた。
少ししか歳は違わないけれど、こうやって素直な反応を見ると幼いなぁ、と思う。



「どうしたの?もしかして金縛り?」

「か、金縛り…」

「ふふっ、冗談だよ。ずっと同じ姿勢だったから、ちょっと指の筋肉が固まっちゃったみたいだね」



すぐに驚いてくれる後輩が可愛くて、ついからかってしまう。
人差し指なんて普段使わない指に、力を込めてしばらくそのままの姿勢でいたから指が固まってしまったのだろう。
なんてことはない、よくあることだ。
気付けば、外が夕暮れ時から黄昏時へと変わっている。
下校時刻のチャイムが鳴るのも、もうすぐだろう。
早く帰らないと、明日の朝練に支障が出る。



「さぁ、そろそろ本当に帰ろ―――














だれ?よんだ?
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