は放出系の能力者だ。
水見式を行った際、水が透明感のある赤色に変わった。
それ以降クロロは放出系に関する簡単な説明だけ行って、一ヶ月、能力の開発に費やした。
その間、クロロは一切関わっていない。
能力開発は他人がどうこう言うものではないし、放出系の能力に特質系のクロロは教えられることが何もない。
何より能力は決め技になることが多いので、他人に見せたり教えたりするものではない。

は一ヶ月、一人で能力を決めた。
クロロは の能力を知らない。
ただ、 もクロロの能力は知らなかった。
今回の試合はクロロの発禁止なので知らなくてもまったく関係ないのだが。



防戦一方だったクロロが攻撃を開始し、戦いは激化した。
これまでも による激しい打ちこみ攻撃があったが、それに加えクロロからの反撃が出てきた。
今度はが防戦を強いられる。
けれどここでこれまでの経験の差が顕著してきた。
クロロが攻防力60で攻撃すれば、は硬でガードする。
硬による一点集中防御は強固だが、反面多方面の防御がおろそかになる。
その隙をクロロは狙い、攻撃した。

左脇腹を殴るつもりがが動くので、思い切り肋骨に当たってしまった。
みしりと慣れ親しんだ感覚が、クロロともに感じることができた。
だからといって攻撃の手を緩めるクロロではない。



「う、ぐぅ…」

「防御は常に気を配れ。攻撃を受けたからといって怯むな、休むな、動き続けろ」



は即座に身を翻し、距離を置く。
けれどもクロロは即座に追随し、追撃する。
距離を置けば、放出系であるが戦いやすくなることを見越しての行動だった。
そして、遠距離攻撃は攻撃側が回復する時間を与えることにもなる。
クロロがの放出系の攻撃を避けている間、は若干の消耗がありながらもその場から動くこともなく攻撃することができる。
だから、その間に受けたダメージの回復を図る。
そんな相手の思うつぼになるようなこと、クロロはさせない。
させてやるほど、を甘やかすこともしない。

ぱしりとの拳を受け流し、空いた脇腹に再び肘を入れる。
けれどもコートのファー部分を掴まれ、後ろに倒される。
その勢いを利用して、はクロロのオールバックで綺麗に露出されている額に、硬で覆った頭突きをした。
咄嗟にクロロは流でガードしたが、勢いのついた硬と受け身の流では衝撃を相殺しきれなかった。
瞬間、クロロの目の前に星が散るが、一瞬で持ち直す。
だがはその一瞬を見逃さず、その場から駆けだした。
クロロもすぐに後を追うが、一度開いた距離はそう簡単に埋まらない。



「“オールラウンダー:マグナム”」



はズボンのポケットから銃を取り出し、狙いをクロロに定める。
の手のひらに収まるほど小型の銃から発砲されたのは、その経口からは決して撃つことができないはずのマグナム弾だった。
それは実弾ではなく、念で作られた念弾だった。
クロロはそれを避け、尚も疾走し続けるに迫る。



「あーんど、“ホーミング” !」



再び撃ち出されたものは何の変哲もない弾だった。
クロロはその名に舌打ちし、大きく跳躍した。
弾はホーミングの名のとおり、直線にしか飛ばない銃の常識を打ち破り、その弾道から外れたクロロを追う。
どれだけ距離を置こうとついてくる弾に、クロロは逃げた。
どんな特殊効果があるか解らない弾に被弾するのは、あまりにリスクが高い。
走っている最中に足元に転がっていた小石を拾い上げ、ホーミング弾に投げつけた。
石が当たると弾は呆気なく破裂し、姿を消した。
それは、普通の銃弾となんら変わりなかった。



「これね、“オールラウンダー:使い手の理想の銃” って言うんだ!弾切れ知らずでちょー便利!!」

「拳銃ごときではしゃぐな。三下か、お前は」

「弱いのならこれで始末できるよ。弾切れもしないから、いくら束になってかかってきても全然オッケー!」

「それがまさか俺に通じるとでも?」

「これは単に能力のお披露目。いいでしょー?」

「高が銃じゃないか」

「でも、使い勝手抜群!そんだけ!!」



は銃を仕舞うと、殴られた跡が残る顔で満足そうに笑った。





「それでこれが “バンボラ” ボクの本当の能力」





ぴたり、とクロロの動きが止まった。







“オールラウンダー:使い手の理想の銃”
所有する銃(形態は問わない)から、様々なタイプの念弾を撃つことができる。
なお、念でできているので常人には高威力であるが、念使い相手だと普通の弾丸程度。
弾切れ知らず、様々なタイプがこれ一丁で賄えるので、連射、携帯に非常に便利。
マグナム:高威力のマグナム弾
ホーミング:その名のとおりホーミング弾
他にも主人公の思いつきで増えたりすると思うよ。 2009/03/09