が拾ってきた子供は順調に回復し、もう日常生活を送っていた。
その子供はが王子、王子、と呼ぶことから、自然とそれが名前として定着してしまった。
本人も名前を名乗らないし、王子と呼ばれれば反応する。
王子、それが子供の名前と為った。
「王子、好き嫌いはいけないよ」
「なんでオレが!」
会話だけ聞けば子供の好き嫌いを諭す極一般的な会話に聞こえるが、実際はそんな生易しいものではない。
言う事を聞かない王子を、が力で押さえ込む猛獣の調教のような荒々しいものだった。
「この王子であるオレが、どうしてこんな重労働をしなきゃいけないの!?天才であるこのオレが、どうして!!」
「うるさいなぁ、このボクがしろって言ってるの。だからやるの」
「、どうして君は王子であるこのオレに命令するんだよ!?」
「そんなの決まってる、ボクがキミより優れていて、尚且つキミはボクの子供だからさ」
「嘘だ!オレは王子だ、王子だから誰よりもすごいんだ、一番はこのオレだ!!」
は王子の頭を鷲掴みし、床に叩きつけた。
王子はまだ子供で、青年であるの力に逆らう出来ない。
当然、思い切り頭を床にぶつける破目になり、痛みに呻いた。
すでに身体には痣や切り傷やら、無数の怪我が至る所にある。
それらは全て、が王子に対して行った “しつけ” の痕だ。
「いい?お前が王子なのは名前だけなの。お前はボクの子供、だからお前はボクに言われたとおりに行動して、学んでいかなきゃいけないの」
「でもッ!オレは王子だ!だから、こんなことしなくてもいいんだ!!」
「お黙り、王子。ここはボクの家で、主はボクだ。そのボクに従う事が出来ないのなら、外へ放りだすよ」
「なんで、なんでッ!!」
痛みで朦朧としながら、王子は悔しさから泣いた。
これまで何不自由ない生活をしてきた王子にとって、誰かに屈服するという行為は屈辱的な出来事だった。
痛み、屈辱、悔しさ、子供である王子は耐えられない。
唇をかみ締めながらすすり泣く王子を見て、は笑う。
「可愛い王子。いいんだよ、これから覚えていけば」
優しい言葉が反って王子を惨めにする。
「絶対に、より強くなってやる・・・!」
「いいよ、今だけ言わせといてあげる」
「絶対だ!!」
王子は泣き叫びながら、自分のプライドにそう誓った。
2006 10 06
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