相手の了承も得ていない酷く一方的なキスをし終え、雲雀は溜息をついた。
結局自分は何をしたかったのか。
“確かめたかった”
と自分の中で言い訳しておいたが、所詮言い訳でしかない。
本当は確かめる必要なんて皆無だった。
ただ、もう一度キスする言い訳が欲しかっただけだった。
先ほど感じた、違い、はわからなかったが、確認するまでもなかった。
する必要なんて、何もなかった。

何故このような愚行に及んでしまったのか。
自分のことなのにまったくもって理解不能。
自分のことなのに何が何なのかわからない。

そして最もわからないのはこの男だ。
冷静になって気付いたのだが、絶対に起きている。
最初は本当に眠っていたのだと思う。
だが、キスで、最初に手が触れた時点で目を覚ましたはずだ。
彼の眠りは非常に浅い。
人に触れられ目を覚まさないはずが無かった。

どうして気付かなかった、気付けなかった。
そんなことまで気が回らなかった、というのが正直な話だ。
目の前の好奇心に負け、後先考えずに行動してしまった。
後悔しても後の祭り。
どうしたらいいのだろう、と考えあぐね、 取り合えずこの状況を愉しんで、
今必死で笑うのを堪えているであろうを起こすことにした。



「ホントに意地が悪いよね、どうして起きてるのに寝たフリするのさ」



手の甲で顔を覆い、出来るだけ顔を隠し表情を読み取られるまいとした。
その所為でがどのような表情をしているのかわからなくなってしまったが、 今の自分の情けない表情を晒すよりはマシだろう。



「答えなよ、狸寝入りってのはバレてんだからさ」

「人の眠りを邪魔しておいて、随分な態度だね」



その言い草は決して怒っているわけではなく、寧ろ愉快そうに弾んだ声音だった。
予想はしていたが、やはり現状を愉しんでいる。
混乱している自分の反応を見て愉しんでいるのだろうか。



「こうして眠ってるボクにキスしたのは二人目。ボクってそんなに眠り姫に似てる?」

「ふた・・・り・・め・・・・・・?」

「そう、二人目。最初じゃないのが悔しい?」



きっと、声で動揺しているのがばれてしまったと思う。
顔は隠していても声は伝わってしまう。



「素直だね、ヒバリは。じゃあもっと言ってあげる。
ボクが眠ってるふりしてキスを許したのがヒバリで二人目。
けど、起きてるボクとキスしたことある奴なんて、ごまんといるよ」



眩暈がした。
が何を言ってるのか、さっぱりわからない。
いや、わかりたくない。







2006 07 16
  

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