正直に言おう。
のことは、相容れないと思いつつもいい好敵手だとは思っている。
確かに勝手気儘だし自己中心的だし、自分とはほぼ正反対の性格だと言っていい。
正反対だから、惹かれるものもある。
自分に足りないもの、という言い方は癪だが、それらをは持っている。 磁石のN極とS極のように、どうしようもなく惹かれてしまう。

未だ雲雀はの敗北を見たことが無い。
悔しいことに、幾度となく勝負をけしかけても勝てたためしがないのだ。
というよりも、この男に “敗北” の二文字は無縁のように思える。
いつだって人の上に立ち、他者を従え、行く手を阻むものはその強さを惜しげなく発揮して押しどける。
雲雀の見る限り、これまで見てきた人生の中で、が最たる存在のように思えていた。

言ってしまえば、よりうえの存在がいないのだ。
突出した、あまりに異質な存在。
その異質さがまた嫌になるほど甘美で、人を惹き付けかどわかす。
誘惑に耐えた者でも、絶対的な力により屈服させる。
二重の重圧に耐え忍ぶ術を雲雀は知らない。
雲雀も耐え忍べなかったものの一人だ。

嫌い、好きじゃない、と虚勢を張っていたが、嫌いな人物と同じ部屋で何日も過ごせるほど雲雀は許容範囲が広くない。
だがそれは知人と言う程度。
知人、友人、好敵手、敵。
いい言葉が思い浮かばない。
これまで雲雀と肩を並べるものなどいなかった。
だから、これらの言葉を知っておく必要もなかった。

けれど困ったことに、それが今、必要になってしまった。
を類する言葉がわからない。
わからない、そんな言葉、知らない。
もう何もかもがわからなさすぎて泣きそうだ。
嫌だ、こんなの、こんなわけがわからないの、嫌だ。



「好きじゃない。嫌いじゃない。
 君の事は、本当に好きでも嫌いでもないんだっ!!」



搾り出した答えに、は満足してくれただろうか。
目の前にある顔は、もう見えない。







2006 07 27
  

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