「出かけよう、ヒバリ!」



あぁ、本当にこいつはいつも唐突だ。
少しはこっちの気持ちも考えて欲しい。
雲雀はそう思いながらもかけてあった学ランを羽織った。







「ふふ、いい天気だね」



確かに、見上げた空は程好く晴れ、肌に感じる風も少ない。
穏やかないい天気である。
しかし、どうにも気分が乗らないのはやはり隣に居るのがこの人物だからだろうか。

現在雲雀はと共に並盛町内を散策していた。
一般的には散歩、と呼ばれるこの行為。
あまりに突然から誘われたもので、
雲雀は断る間もなくこうしての横に居る。
本来ならば、今日と言う日は応接室でゆっくりと過ごすはずだった。
なのに、どうしてと一緒に散歩しているのだろう。



「ねぇ、どうして急に出かけようと思ったの?」

「うん?いい天気だったからだよ。ほら、いつも部屋の中じゃ退屈だし」

「だからって、僕を誘う必要なんかなかったと思うんだけど」

「一人は寂しいよ。でも、ヒバリが一緒だと寂しくない」



たかがそんな理由で、と呆れたとき、ふわりと手を握られた。
慌てて横を見れば、いつもどおりのがいる。
突然のことで雲雀は反応できず、拒否することが出来なかった。
ぶらぶらとつないだ手を振りながら、二人は歩いた。 動揺している雲雀を気にしする様子も無く、は話を続けた。



「それに、ヒバリと一緒だと楽しいからね」

「僕は楽しくない。寧ろ外に出たくなかった」



握られた手は思ったより大きくて、
自分がまだ子供でが大人なのだと思い知らされた気分だ。



「ダメだよ、お日様の光を浴びなきゃ大きくなれない、強い子に育たない」

「子ども扱いしないでくれるかい?僕はもう大人だ」



そう言っても、隣に立つと露になる身長差。
は細身なので大男という印象こそ無いが、標準以上に背丈が有る。
雲雀が並んで歩くと、そこには親子ほどの身長差が有った。
それがあまりにも悔しくて、つないだ手が熱すぎて、気付いた時にはその言葉が出ていた。



「ねぇ、手、放してくれない?」

「どうして?」



言えというのか、理由を。
それはとても簡単なことなのだが、口に出すのはどうにもむず痒い。
そして、は雲雀の言いたいことが解っているにも拘らず、
いっかな放そうとしない。



「手を繋ぐのは嫌な事?ボクは好きだよ、手を繋ぐの」



ぎゅう、と手を握る力を強められる。
言える訳が無い。
恥ずかしいから手を放してくれ、だなんて。



「天気、いいね」

「どうだか」



天気はいい。
気分が乗らない。
いつもと違って、少しだけ胸が詰まる。
きっと、男と手なんか繋いでるからだ。



「あ、ボクちょっと用事があるからココでね、チャオ」



ぱっ、と繋いでいた手を放された。
自分から誘ったくせに、ひどく勝手な行動だと思う。
遠くへ行くの背を見て、それから先ほどまで彼の手とつながれてた自分の手を見て、
あぁ、手を放せばよかったんだ、と思った。
どうしてだろう、手を繋いでいる間はそんな事微塵も思いつかなかった。
・・・、少し頭が悪くなったかな。

気晴らしに、このまま散歩を続けようと思った。







2006 05 14
  

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