と言う名は聞いた事があった。
インペラトーレファミリーと言う中規模クラスのボスで、
バンボラと言う異名を持つ残虐な人間だ、と。

どうしてその様な名の知れた人物が骸の前に居るのか。
どうして骸の目的を知っているのか。
色々な疑問が浮かんだが、骸は首を振り目の前の事に集中した。
今はその様なことを考えている場合ではない。
自分の前に居ると戦う事に専念しなければならない。

これまで幾度となく死線を超えてきた。
だからこそ解るものがある。
対峙したに見えるオーラ。
ビリビリと肌に感じる殺気。
全てがの強さを示していた。
伊達に裏世界で著名なだけの事は在る。

骸は息を呑んだ。
どうしてだか血が騒ぐ。
腹の底から湧き上がって来る気の高ぶりは何だろう。



「クフフ。では、お相手を願いましょうか」

「うん、本気出してね」

「当り前ですよ。貴方のような人に手を抜いていては、こちらがやられてしまいますからね」

「直ぐに死なないでね?それじゃあボクがつまらないから」

「善処いたしますよ」



まるで骸に勝つことを前提にしたような口ぶり。
骸だってむざむざ負けてやるつもりは毛頭ない。
それどころか、に勝つ気で居る。
勝負とは分からないものだ。
いつ、何が、どんな事が起こるかはまったくの未知数。
天が骸に見方をすれば、骸だって十分に勝つことが出来るはず。
いや、天が見方をせずとも勝てるかもしれない、と骸は思った。
相手が誰であろうと、絶対に負けない。
その自信に見合う技量は持ち合わせている。



「始めましょうか?」

「始めようよ」



にっこりと、が身構えた。
骸は負ける気はない。
だが、勝てるかどうか解らない。
いいや、違う。
解らなくとも勝って見せるのだ。
目的のために、復讐のために。

手に持っていた棒を握り直し、気を張り詰める。
しかし、今まさに始まろうとしていた戦闘は中断させられた。

再び、部屋唯一の出入り口であるドアが開かれた。







2007 12 21
  

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