「一瞬で終わりますよ」

骸が駆け出すのと、雲雀が構えるのとほぼ同時だった。



骸の棒と雲雀のトンファーがぶつかり合い、重々しい金属音がする。
断続的な鉄同士のぶつかり合い。
あまりの速さに見ていたツナはただ圧巻された。



「君の一瞬っていつまで?」



雲雀は骸の攻撃をトンファーで受け止め、言った。
一瞬とは、一度まばたきするほどの極めて短い間を指す言葉。
もう一瞬とは呼べない十分な時間が経っていた。

骸はそんな状況下でなんとも言えない微笑を浮かべ
ばっ、とその場を離れる。



「やっぱり強い!さすがヒバリさん!!」

「へー、やるようになったね、ヒバリ」

「こいつらを侮るなよ、骸、
お前らが思っているよりずっと伸び盛りだぞ」

「なるほど、そのようですね。
彼がケガをしてなければ勝負はわからなかったかもしれない」



ふらつく雲雀の肩から血が噴出した。
先程の打ち合いの中で、骸の攻撃が雲雀に当たっていたらしい。
骸が笑っている。
勝負はまだついていない。



「時間のムダです。てっとり早くすませましょう」



ぶわ、と何処からともなく桜の花が咲き誇った。
雲雀は目を見開き、一瞬ふらりとよろける。
これには眉を顰めた。
訝しげにリボーンを見ると、怪訝そうに頷く。
が、ふむ、と少し考えた後、綺麗だね、と客観的に呟いた。
の横に立っているツナは驚いたように叫んだ。



「まさか、ヒバリさんのサクラクラ病を利用して・・・!」

「あれ、ヒバリって病気にかかってるの?」

「あ、はい・・・。サクラクラ病っていって、桜を見ると立っていられないんです。
 それなのに、どうしようッ!!」

「クフフ。さあ、また跪いてもらいましょう」



きょとりとは雲雀を見、ツナ、骸、双方に向けて言った。



「でも、ヒバリは平気みたいだよ?ホントに病気なの?」



が言い終えるのと同時に
駆け出した雲雀のトンファーが骸の懐へぶち込まれた。
バキッ、と鈍い音が聞こえ、骸の口の端から血が垂れる。
桜が咲いている状況で雲雀が動けるなど、ツナと骸にしたら衝撃的な出来事だった。

何故、サクラクラ病にかかっている雲雀が桜の咲き誇るこの場でまともに動けるのか。
その疑問に答えたのはいつからかその存在を忘れられていた、
満身創痍の獄寺だった。



「シャマルから渡されたサクラクラ病の処方箋だ」

「それじゃあ!!」



ツナが全てを言い終える前に、勝負は決した。
雲雀は両手に持ったトンファーを鋏の様に使い、
両サイドから骸の顔に打撃を与えた。

骸は盛大に吹っ飛ばされ、床に叩きつけられた。
持っていた武器は骸の手から離れ、からからと遠くまで投げ出され持ち主を失う。
倒れ行く骸が意識を失うのに連なり、綺麗に咲いていた桜が消えた。



「桜は幻覚だったんだ!!」

「ボンゴレ、気付いてなかったの?」

さん気付いてたんですか!?」

「うん。リボーンもわかってたみたいだし。ねぇ、リボーン」

「まだまだだな、ツナ」



「っていうか、これって・・・」



雲雀はふらつきながらも立ち上がり、
獄寺は、おいしいとこ全部もってきやがって、とつまらなさそうに舌打ちする。



「あ・・・ああ・・・」



ツナは歓喜に奮える。



「ついにやったな」

「あーあ、つまんない。来た意味ないじゃん、ボク」



リボーンが言って、が呟いて。
やっと実感できた。



「お・・・・・・終わったんだ・・・。 これで家に帰れるんだ!!」



今回の並盛中学襲撃事件の主犯である六道骸は雲雀恭弥によって倒された。
打倒六道骸、とこの地にやってきた。
六道骸は倒れて、気を失っている。

勝ったのだ。

数々の犠牲を出しながら、仲間を傷つけられても、
六道骸に、敵に、勝ったのだ。
目的を成し遂げた達成感、敵を打ち払った安堵感。
全てがツナを喜ばせた。







2006 04 26
  

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