ツナはの発する覇気に負け、全身から嫌な汗が噴出した。
本能が危険だと叫ぶ。頭痛がする。耳鳴りがする。全身から血の気が引いていく。心臓が痛い。
この現状から目を背けたいのに、瞼を下げる事すら出来ない。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
ここに居たくない、逃げ出したい、この場から消え去りたい。

あの時と、同じだ。
いや、それよりも酷い。

いつだったか、常に喉元にナイフを当てられているような、心臓を鷲掴みにされているような恐怖に晒されたことがあった。
あれは・・・そう、初めてを見たときだ。
銃口を向けられ喜ぶその様は、見ていて総毛だった。
その時も怖くて、身体が震えて仕方が無かったが、ここまでじゃなかった。

今、は天を仰ぎ、狂ったように笑っている。
リボーンは横にいるツナを見て、舌打ちした。
完全に呑まれている。
が織り成す莫大な、目に見えないのが不思議なほどの濃い殺気に。
畏怖している。
本当の死を目の当たりにして。

は骸の遺体を蹴って、くるりとツナの方へと向き直る。
ツナはさらに圧力を感じた。息苦しい、肺が圧迫されるような。



「ねぇ、どこにいるの?これで終わりだなんて、ボクは信じないよ?」



きょろりと辺りを見回し、何を探していると言うのか。
ここにはもう何もない。
人が傷つき、倒れている。
ついさっき、人が、銃で頭を打たれて、そこで、死んで、いる。
その事実だけで、ツナはまた心臓が痛いほど脈打った。
ぎゅっと汗ばんだ手で服の上から心臓があるだろうと思われる位置を掴んだ。



「落ち着け」

「何を落ち着くの?」

「骸はお前が殺した。だから、これ以上は何もない」



リボーンが何かを言っている。
何を言っているのかは上手く聞き取れない。
どくどくと早鐘のように鼓動する心臓の音が邪魔をする。



「何を言ってるの?ムクロはまだ生きてるよ?」



聞き取れない。聞きたくない。
もう、感覚がない。








2007 02 24
  

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