の存在が場の空気を変えていた。
ぴりぴりとしていて、常に緊張状態に置かれる。
百獣の王の目の前に献上された生贄羊のように、なにも抵抗できない。
少なくとも、獄寺はそう感じていた。
空気がずっしりと重く肩にのしかかり、押しつぶされそうになる。

は時々獄寺に視線をやった。
視線があれば、その圧迫感で身動き一つ取れない。
視線を合わせるなんてことをしたら、きっともう立てなくなってしまう。
視線が逸れたなら、随分と呼吸が楽になる。
それほどまでにのの威圧はすごい。
眼力だけで、ここまで人を萎縮させることが出来るのだ。
先ほどツナに命を懸けて守る、と言ったが、
果たして自分一人の命で守れるのだろうか。
きっと、は獄寺など一瞬で消してしまえるだろう。
悪いイメージしか出てこない。
に勝てる人物がこの場にいるのだろうか。
大いなる力の元で潰されそうになってる獄寺は、
狭まった視界で考えることが儘為らなかった。

ちらりと横に座るツナに目をやったら、やはり縮こまっていた。
怯えている、畏れている、気おされている。
彼に。に。

獄寺は恐ろしく狭くなり、碌に選択肢も出ないまま必死で考える。
どうしたらいいのだろう。
どうしたらツナを守れる?

ちらりとを盗み見れば、笑っている。
楽しそうに談笑している。
今なら、倒せるだろうか、油断しているのだろうか?



張り詰めた緊張感のもと、追い詰められていた。
自分との力の差に、焦っていた。
その焦りが、獄寺隼人に誤った行動を取らせた。







2006 03 23
  

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