「ヒバリは強い」



掴んだトンファーを押し戻し、はヒバリに歩み寄りながら言う。
雲雀は掴まれたトンファーを取り戻そうと力を込めるが、ぴくりともしない。



「けど、強いと言われるのは精々この町内だけでだろうね」

「その、言い方だと、他の所で、は、弱いみたいな、言い方、だね」

「そう言ったつもりだけど?」



軽々と言ってのけるこの男が憎らしい。
そして、息も絶え絶えな自分が悔しい。
彼は大人で、自分は子供。
けれどそんな理由で自分を納得させられない。
大人だからどうした。
少しばかりリーチが長くて、力が強いだけじゃないか。
子供には子供のよさがある。
柔軟な身体、これまで培ってきた経験、今まで覚えた技術。
それがある限り、負けない。
負けるつもりなんて、ない。



「この程度の強さの奴なんて腐るほど居るよ」

「じゃあ、そう言う、アンタはどうな、わけ?」

「ボク?ボクは強いよ。少なくとも、ヒバリよりはね」



どうしてこの男はこれ程まで自分を逆撫でするのが上手いのだろう。
萎え掛けていた闘志が湧き上がる。
負けない、負けたくない。



「さっきから、防戦一方、の、くせにね」

「まいったな、弱った相手をいたぶるのは好きじゃないんだけど」

「何を言ってるん、だい?僕はまだまだ、いけるよ」



話している間に、大分呼吸が整ってきた。
元々疲労していただけで、外傷などは一切ない。
一通り呼吸が元に戻れば、まだまだいける。
大丈夫だ、トンファーを握る力は、まだ衰えていない。



「咬み殺してあげるよ」

「口が過ぎるよ、ヒバリ」







2006 03 27
  

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