お子さま行進曲



「マルコマルコ!」

「んあ?」


てててっとが駆け寄ってきて、両手で持っていたものを嬉しそうに見せてくれた。


「かたむつり、つかまえた!!」


いや、言えてないし。
それに電伝虫だし。
獲物を獲ってきた犬みたいに、褒めて!オーラを出されても、とマルコは目の前の子供を見た。
片手に電伝虫を持ち、これ見よがしに見せてくる。
はぁとため息をつきながら、しゃがんで目線を合わせる。


「そりゃ電伝虫だよい。どっから持ってきた」

「おやじのへやにいたの、つかまえた!!」

「もとあった所に戻してこい。そりゃ虫じゃなくて通信用の電伝虫だ」

「たたつむりちがう?」

「ちげぇよい。そしてそれを言うならかたつむりだ」


たたむつり!と元気よく言うが、やっぱり言えてない。
電伝虫の説明はまたあとですることにして、とりあえず戻してこい、と言おうとした時だった。


「 ぷるぷるぷるぷる 」

「ぎゃーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」

「アホ、投げるバカがいるかよい!!」


タイミングがいいのか悪いのか、通信が入った。
そしたらが驚いて、叫んで、あろうことか電伝虫を放り投げた。
親父の部屋にある電伝虫なのだから、間違っても死なれたら困る。
慌ててキャッチしたマルコは、とりあえず返事をした。


「白ひげだよい」

”その声は1番隊隊長のマルコだな、白ひげはいるか?”

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!たたむつりがしゃべったあぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

「静かにしろ!喋らねぇ電伝虫があるかよい!!」

”えらく賑やかだな”


電伝虫を一旦床に置いて、喚くを押さえつけ口をふさぐ。
もがもがと騒ぐが、とりあえずは通信優先だ。
くつくつと可笑しそうに笑っている電伝虫の向こうの相手に、八つ当たりを込めてなんだと叫ぶ。


”いやな、実は今結構近くの航路にいるんだわ。ついでだから挨拶しに行こうと思ったんだが”

「わかった、伝えておくよい」

”それだけだ。なんか面白そうな奴が増えたみたいだし、楽しみにさせてもらうぜ”

「人の苦労もしらねぇで、精々良い酒持ってこい」


そして、通信が途絶えた。
未だもごもご騒ぐを解放してやり、床に置いていた電伝虫を拾う。


「き、きもちわるいたたむつりだな!?しゃべったな!?なんかおっさんっぽかったな!!!」

「だから電伝虫だっつってんだろ…。これはな、離れた所にいる相手と話すもんだ」

「しゃべるたたむつり!きもちわるっ!!」

「今話してたのは、別の船にいる人間だ」

「でもかたつむりがしゃべってた?」

「いや、だからな」


いい加減、マルコも説明するのに疲れた。


「オヤジの部屋に、返してこい」

「きもちわるい、さわりたくない」

「 か え し て こ い 」






  
2010/10/12