お子さま行進曲



わぁぁんと、子供が大声で泣いていた。
マルコに押さえつけられて、みっともなく涙と鼻水とよだれを垂らしながら泣いていた
子供が泣いているからといって、心動かされる大人はこの部屋にいなかった。
子供は大声でわんわんと泣き喚いているが、慰めの言葉をかけようとする者は誰もいない。
もしこの場で子供を殺しても、仕方なかったの一言で済まされるだろう。
極悪非道とは、何度も言われている。


「ど、どうしてのじゃまするの?ひっひっ、は、おしろに、かえ、るの!」

「かえる! の、おしろに、おうちに!ふぐっ、うぅぅぅ!!」


動いたのは、エドワードだった。


「おい、ガキ」

「っ、だも、んっ!」

「そうかい、よ。お前さん、どこへ帰る」

「おーしゅーのっ、お、おしっ、ろ!」


エドワードはマルコに押さえつけられて泣いているの首根っこをつかみ上げ、外へ出た。
扉の外は、外だった。
潮風が吹く。
眩しいほどの快晴で、大海原がきらめく。
どこまでも続く海と、空。


、答えろ。どっちに行って、どうやって帰る」

「……ここ、どこ?」

「海だ」

「うみ?うみってなぁに?」

「目の前に広がってる、水のことだ」


子供はぱちぱちと瞬いた。
瞬く度瞳に溜まっていた涙が零れおちたが、新しい粒は溢れていなかった。


「うみは、どこまでうみ?、およげるよ。どっちへいけばおーしゅー?」

「海はな、ずっと海だ。今は島に向けて航路をとっちゃあいるが、島へはあと三ヶ月はかかる」

「どうやったらおーしゅーにいける?、かえれる?」





「帰れねぇよ」






   
親父殿はここできっとある程度主人公がどういう境遇なのか気がついた。
2010/09/16