お子さま行進曲



どばっしゃーん


ー、まぁたエースが海に落ちたぞー」

「ぅあーい」


すっかり、エースの世話係も随分板についた。
エースがエドワードの返り討ちにあって海に落ちれば、の名が呼ばれる。
どこかで倒れてたら、が呼ばれて起きるまで介抱する。
飯時になれば二人分だけ別に盛られた料理をエースの元へと運ぶ。
これが日常となって、もう3ヶ月。

おいっちに、と軽く屈伸して、手足をぷらぷらとふって、はためらいなく海に飛び込んだ。
たった数秒でかなり沈んでいるエースを脇から抱え上げ、海水を蹴った。


*


「はふ、ただいまぁー」

「お疲れさん。ほれ、タオル」

「ありがとー」


海から船に戻ると、サッチがタオルを持って出迎えてくれた。
ぼたぼた、ととエースから滴る海水が甲板をぬらす。
どさっと担いでいたエースを甲板に落とすと、もつかれたー!とその場に座り込んだ。
も鍛えている方だが、それでもエースを担ぐのは重い。めちゃくちゃしんどい。
それでもはサッチからタオルを受け取ると、自分より先に気を失って倒れているエースにかぶせた。

海から引き上げたエースが気を失っているのはよくあることだ。
たまにげほげほとむせていたり、水を飲んでいたりすることもある。
その度には背中をたたいげあげたり、胃を思いっきり圧迫して水を吐かせたりなんやかんやしていた。
後でやりすぎだ!と素肌に紅葉を残すエースに怒られるけれど。

今回もわしわしと頭だけ拭いてやり、後はタオルを腹にかけて自然乾燥に任す。
自分自身も適当にタオルで水気をとり、首からかけた。
エースが目覚めるまで、エースの隣に座って自然乾燥しよう。
そう思っていたら、よっこいせという声が聞こえた。
見ると、の隣にサッチが腰をおろしていた。


「サッチおっさんくさ!」

「うっせ!!その、なんつーか、こいつはまだ慣れねぇか」


サッチがエースを見る。
も大の字で口を大きく開けて目を閉じているエースを見た。
んーと口をとがらせる。


とは仲いいよ!」

「知ってる。最近マルコががこねぇって拗ねてたぞ」

もエースの面倒見るので忙しいからなぁ」


からからとが笑う。サッチも苦笑した。
エースは毎日毎日毎日毎日飽きもせず、多い時では一日に二回も三回も白ひげを襲いに行っては返り討ちにあっている。
それがもう3ヶ月だ。3ヶ月は、決して短くはない。
その間他の船員はすっかりエースを仲間だと思っているし、もエースを大事な仲間で楽しい喧嘩仲間だと思っている。
けれど、肝心要のエースがちっとも船に慣れてくれない。
とはうまくやっていっているが、それでも船上でエースは浮いている。

そろそろ、歩み寄ってくれてもいいじゃないか。
今でこそエースの面倒を見ているも、白ひげ海賊団での仕事はあるのだ。
スペードの海賊団の他のメンバーは随分と船に馴染んでくれたし、船長もさっさと馴染んでくれないかなぁとサッチ遠くを見た。


「エースはね、いい奴だよ。まっすぐで、強くて、あとメラメラで背ぇ高くて力も強くて、やんちゃでバカで諦め悪いし頭悪いしバカで…そうなんだよ!バカだよ!!あとガキ!バカでガキで、あーもー!」

「わぁったわぁった。とどのつまり、はエースが好きなんだな」

「うん、好き!」


ちらっと、サッチは目だけでエースを見た。


「俺らも新しい末っ子を可愛がってやりてーからさ、とっとと家族になれっつとけ」

「あいあい、りょーかいっ!サッチもエースが好きなのな!」

「…ニュアンス的には間違っちゃいねぇが、お前はなんでも意訳しすぎだ」

「間違ってないならいーじゃん。ストレートが一番!」







  
そこはかとなく赤くなったエースの耳をサッチは見た!
2010/11/04