お子さま行進曲



女とコトを終え、目覚めたら昼だった。
女は疾うにおらず、机の上に置いてあった金を持って帰ったようだった。
商売女の中には事後や翌朝しつこく付きまとってくる者もいるが、そういったやり取りはわずらわしい。
コトが済んだら、何も言わずこうしてゆっくりと一人で寝れるのが一番だと思う。
その点において、今回はイイ女に当たった。

宿の主人に頼んで新聞とコーヒーとパンを貰い、遅い朝食を取る。
片手で薄いコーヒーをすすりながら、新聞を広げ椅子に腰かける。
床に脱ぎ捨ててあったはずのシャツは綺麗に畳まれてベットの横に置いてあった。
窓からは昼の喧騒が聞こえる。
パンをかじりながら、新聞の文字を目で追う。目新しいことは書いておらず、ただ平凡な話題ばかりだった。
少量のパンで余計に腹が減ったので、昼にしようとようやく服を着る。
ズボンのポケットの中にきちんと金があることを確認し、宿屋を後にした。

気だるい中、適当に店を選んで昼食を取る。可もなく不可もなくの味だった。
動く気がしなかったので、少しそのまま居座る。先程宿に置いてきた新聞を持ってきておいたらよかったなと思った。
モビー・ディック号に戻るのもいいかもしれないが、戻ると夜は確実にに会う。
昨日の今日だから、戻るには早いか。
一日置けば大丈夫な事は、過去の経験上把握している。
後一日、この平和で平凡で何もない島でどうやって暇をつぶすか。
新しい宿―――ホテルでもいいかもしれない―――を借りて、そこで過ごそうか。
せっかく島に停泊しているのにもったいないと元気な奴等は言うだろうけれど、島だろうと船だろうとはしゃぐ若さは持ち合わせていない。
寝なおすか、とホテルを探して歩きだした時だった。


「―――あ、マルコだっ!!」


ぼんやりとどこかを見ていた視線が、正面に向く。
が手にアイスを持ちながらこちらへ駆けてきて、その後ろにはエースがいた。






  
主人公サイド
2011/04/05