お子さま行進曲



「エースは…ダメだな。サッチ、やっぱサッチか…イゾウでもいいけど…」

「俺の何がダメだって?」

「ふぎゃっ!?」


珍しく考え事をしながら手すりにもたれていたので、背後から声を掛けられたは驚く。
振り返ると、先ほど考え事から除外したエースが立っていた。
うっかり飛び上るほど驚いてしまったは、そのまま前のめりになって手すりを超えて海に落ちそうになるのを何とかこらえた。


「エース…。驚かせるのはいくないと思う」

「勝手に驚いてんのはそっちだろ。で、俺の何がダメだ、言ってみろ。訂正させてやる」

「いやね、胸を手っ取り早く大きくするには、誰かに揉んでもらうのがいいって聞いたんだよ」


がったぁん!と、今度はエースが動揺して海に落ちかけた。
がシャツを掴んで無事だったけれど、げほげほげほと唾が気管に入ったのかえらい咽ている。
ばしばしとエースの背中をたたきながら、はため息をつきながら続きを話す。


「でさー、ナースにお願いしたらね?男に揉んでもらえって言われたからね?誰がいいかなぁって」

「おっまえ、そりゃダメだろ!!!」

「え、何が!?」

「お前がいくらバカで色気なしのぺったんこのバカでバカでバカでも、そりゃダメだ!」

「バカバカ言いすぎ、エースのバカ!」


ぎゃーぎゃー言ってくるエースに、も負けじと言いかえす。


「つーか、今更胸デカくしてどうすんだよ!?」


互いの胸ぐらをつかんで殴り合いに発展しそうだったのに、が一気に顔を赤くして爆発した。
ぱっとエースのシャツを掴んでいた手を離して、わたわたと慌てだす。
目線を逸らせて、吃音を発したりしゃがみこんだと思ったら立ちあがったり、忙しい。
エースはそんなの様子を見て瞬く。
顔が赤くて、落ち着きがなくて、これはまさか。


「お前、好きな奴出来たな?」


ひっ、との悲鳴が聞こえた。







  
サッチ→よき相談相手 イゾウ→女らしさを習うなら ってな認識。
2010/12/04